
聞こえにくさから補聴器を買ったものの、「聞こえない」「補聴器が合わない」と感じる方は少なくありません。
音が大きすぎたり、小さすぎたり、なんだか違和感があったり・・。
実はその原因にはいくつかの理由があり、正しい対策を行うことで快適に使えるようになるかもしれません。
今回は、補聴器がうまくいかない原因とその対策を6つご紹介します。
1 音の設定や調整が合っていない
症状:補聴器からの音が大きすぎる、音が小さくてよく聞こえない、自分の声に違和感がある、など
原因:補聴器の音量や設定が適切でない
補聴器は買っただけではその人にピッタリ合う音を出すことはできません。その人の聞こえ方のデータをもとに、補聴器の音や機能を細かく設定していく必要があります。
この「補聴器の音の設定や調整」が自分の聴力に合っていないと、上記のような症状が出る場合があります。
対策:補聴器販売店で再調整する
音が合わないなと感じたら、まずは補聴器を購入したお店に相談してみましょう。
補聴器には、一人ひとりの聴力や使用シーンに合わせて音量や音質を調整できる機能が備わっています。
どういった場面でうるさい・または聴き取りづらいのかを伝えることで、補聴器のプロに適切な音の設定に調整してもらうことができます。
「補聴器がの音が合わない」というケースでは、下記のような場合が多くあります。
それぞれの場合を詳しく説明している記事もあるので、確認してみてください。
補聴器の音がうるさすぎる: 補聴器が「うるさい」と感じる?4つの原因とそれぞれの対策を徹底解説
補聴器をつけると、自分の声が変に聞こえる:補聴器装用時の自分の声の違和感、2つの主な原因と解消方法を紹介
2 補聴器のフィット感の問題
症状:補聴器をつけると耳が痛い、耳から外れやすい、違和感を感じる、など
原因:補聴器が耳の形に合っていない
耳の形や大きさは一人ひとり異なり、同じ人でも左右の耳で異なります。
補聴器の形や部品が耳の形に合っていないと耳にしっかりフィットせず、違和感があったり、ずれたり外れやすくなることがあります。
対策:耳せんを調整したり、耳型を採ってオーダーメイドで作成する
補聴器のフィット感に原因がある場合は、耳に入る部分の形状を変えたり調整することで解決することができます。
耳かけ型補聴器の場合
耳あなに入る部分、耳せん(イヤチップ)の形状を調整してみるとよいでしょう。
メーカーごとに、様々な形や大きさの耳せんが準備されていますので、あなたの耳の形や大きさ、聞こえ方に対して、最も良いものを選択することができます。
例えば、このシグニア補聴器の「RICタイプの補聴器」の場合、
使える耳栓はこのようにバリエーション豊かです。
耳あな型補聴器(オーダーメイド)の場合
オーダーメイドの耳あな型補聴器の場合は、耳の中に入る部分を作り直すことも可能です。
補聴器販売店に相談して、もう一度耳型を取ってもらい、補聴器メーカーに再作成を依頼します。
今の補聴器がきついのかゆるいのか、どういう違和感があるのかを詳細に伝えて、より自分の耳の形にフィットした補聴器に調整してもらいましょう。
ただし、補聴器を購入してすぐは無料で再作成してもらうことができますが、メーカーによっては一定期間が経過すると有料になる場合もありますので注意しましょう。
どちらの場合も、補聴器を購入した販売店に相談してみてください。
3 外部の音環境の問題
症状:よく聞こえない、自分の声が変に聞こえる、など
原因:周囲のノイズを拾いすぎている、補聴器から聞こえる自分の声に慣れていない
騒がしい場所や音の反響が大きい場所では、補聴器が拾う音が背景の雑音に埋もれてしまい、会話や重要な音が聴き取りにくくなる場合があります。
また、補聴器をつけ始めたばかりの場合は自分の声が大きく聞こえ、違和感を覚える方も多いようです。
対策:音の再調整や補聴器のプログラム切り替え
音の再調整
補聴器を購入したお店に相談して、音の調整をしてもらいましょう。
どのような場面でうるさいと感じるか、どういう音が気になるのか、など詳細を伝えることで、補聴器のプロに適切な音の設定に調整してもらうことができます。
補聴器のプログラム切り替え
補聴器には、使用環境に応じて聞こえ方のプログラム切り替えができるものがあります。
補聴器本体のボタンや、専用のリモコン、スマートフォンアプリなどを使って、自分でプログラムを切り替えることができます。
対応できるプログラムは、補聴器のメーカーや補聴器のモデルにより異なります。補聴器販売店に相談してみましょう。
4 補聴器の品質や性能に対する不満
症状:思っていたほど聞こえない
原因:自分のニーズと補聴器の性能が合っていない
補聴器をつけても、期待していたほど聞こえ方が改善しない、と感じる場合もあります。
その原因はさまざまですが、そのひとつに、その補聴器の機能が自分の聞こえ方や生活スタイルに合っていない可能性があります。
使用ニーズと補聴器の性能が合っていない例
- 聴力に合っていない場合:必要な音量よりも小さな音しか出せない補聴器だった
- 搭載機能が十分ではない場合:騒音を抑制する機能や、言葉を強調する機能が十分ではなく、仕事や会議、旅行などの音環境では効果が出にくい
- 他のデバイスとの連携ができない場合:スマートフォンで通話や動画ストリーミングなどをよく使うのに、Bluetoothが搭載されていない補聴器だった
対策:今の補聴器を調整する、より高性能な補聴器に切り替える
対策として大きく2つあります。
まずは、今の補聴器の設定を見直すために、補聴器販売店に相談しましょう。この時に、どのような点で困っているのか、なるべく細かく伝えることが大切です。
補聴器の音の設定、機能の設定を変更するだけで、今よりもずっと聞こえやすくなる可能性もあります。
もし今の補聴器の搭載機能では限界がある場合は、補聴器の買い替えを検討する必要があります。
聴力に対して小さな音しか出せない補聴器を使っているのなら、もっと大きな音が出せる補聴器に切り替える。
また、より良い機能が搭載されていたり、Bluetoothでスマートフォンと接続できたりと、今の生活スタイルに合った補聴器に買い替えることを検討しましょう。
どちらにしても、まずは補聴器販売店にしっかりと相談してみてください。
聴力も生活スタイルも年々変化するものです。補聴器が性能的に合わないと感じた場合は、補聴器販売店に相談して再度聴力測定を受けましょう。
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5 耳の健康や環境の問題
症状:耳が痛い、耳が詰まった感じがする、急に聞こえづらくなった、など
原因:耳の健康状態の問題
補聴器側ではなく、耳に問題がある場合もあります。
耳垢がたまっていたり、耳の炎症や感染症によって聞こえづらくなっている可能性があります。また、単に耳垢がたまっているだけの場合もあります。
対策:耳鼻咽喉科を受診する
耳が詰まった感じがする、耳が痛いなどの違和感がある場合は、補聴器の使用を中断し、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
耳垢がたまっている場合は、自分で耳掃除をすると、耳垢を奥に押し込んでしまう恐れがありますので、無理せず耳鼻科医に耳垢除去をお願いしましょう。
実は私も先日、耳鼻科で耳掃除をしてもらいました。
鼓膜にくっついてガサガサと音を立てていた耳あかを取るために、耳の中に液体を入れて洗い流してもらいました。
痛みもなく、1分もかからずに終わり、一気にスッキリしました。
たかが耳垢のために病院に?と思いがちですが、耳鼻科医も推奨していますので、遠慮せずに受診しましょう。
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6 心理的な抵抗感
症状:明確な理由がなく補聴器装用をためらう
原因:補聴器へのネガティブイメージ、わずらわしさ
補聴器が「年齢」「老い」をイメージさせるせいか、補聴器に対して心理的な抵抗感がある方はまだまだ多いようです。
せっかく補聴器を購入しても、補聴器をつけていることを周囲に知られたくない、恥ずかしいといった理由で日常的な補聴器装用に消極的な場合もあります。
また、日常的に補聴器をつけることに慣れていない方は、補聴器装用自体を「わずらわしい」と感じ、つけなくなってしまう方もいらっしゃいます。
対策:補聴器のデザインを工夫する、使用に慣れるまで少しずつ使う時間を増やす
補聴器のデザインを工夫する
「年寄りくさい」と思われがちな補聴器ですが、最新の補聴器は性能だけでなくデザインも進化しています。
外からほとんど見えない超小型の耳あな型や、Bluetoothイヤホンのようなおしゃれでカラフルなデザインのものまで、大きさ、デザイン、カラーなどさまざまなバリエーションが揃っています。
その豊富な器種の中から、ライフスタイルやファッションに合わせて選ぶこともできます。
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慣れるまで少しずつ使う時間を増やす
最初は短い時間でもいいので、補聴器を毎日つけることを習慣化しましょう。
例えば、毎朝起きたら補聴器を装着することを習慣化する方法です。決まった時間につけることで、生活の一部として自然に慣れていくことができます。
また、補聴器をつけているか確認するなど、家族や周囲の方の声かけも大切です。
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まとめ
もう一度「補聴器が合わない」と感じる原因と対策を確認しておきましょう。
補聴器が合わないと感じているのなら、この中からご自分の「症状」を探して、「原因」を確認し、これらの「対策」を試みることで、補聴器を快適に使えるようになるかもしれません。
1 音の設定や調整が合っていない
症状:補聴器からの音が大きすぎる、音が小さくてよく聞こえない、自分の声に違和感がある、など
原因:補聴器の音量や設定が適切でない
対策:補聴器販売店で再調整する
2 補聴器のフィット感の問題
症状:補聴器をつけると耳が痛い、補聴器が耳から外れる、補聴器が耳の中で動く、異物感を感じる、など
原因:補聴器が耳の形に合っていない
対策:イヤチップを調整したり、耳型を採ってオーダーメイドで作成する
3 外部の音環境の問題
症状:よく聞こえない、自分の声が変に聞こえる、など
原因:周囲のノイズを拾いすぎている、補聴器越しの自分の声に慣れていない
対策:音の再調整や、補聴器のプログラム切り替え
4 補聴器の品質や性能に対する不満
症状:思っていたほど聞こえない
原因:自分のニーズと補聴器の性能が合っていない
対策:今の補聴器を調整する、より高性能な補聴器に切り替える
5 耳の健康や環境の問題
症状:耳が痛い、耳が詰まった感じがする、急に聞こえづらくなった、など
原因:耳の健康状態の問題
対策:耳鼻咽喉科を受診する
6 心理的な抵抗感
症状:明確な理由なく補聴器装用をためらう
原因:補聴器へのネガティブイメージ、わずらわしさ
対策:補聴器のデザインを工夫する、使用に慣れるまで少しずつ使う時間を増やす