補聴器の保証を完全ガイド!故障・紛失・修理で後悔しないためのポイント

補聴器を買う時に最も気になる点のひとつが「保証ってどうなってるの?」。

高い買い物だからこそ、もし故障したり紛失したりしたらどうしよう…と不安になるもの。補聴器を買った後で後悔しないために、保証内容をしっかり理解しておくことが大切です。

この記事では、補聴器の保証についての基本的な知識から、故障・紛失した場合の対応や修理のポイントまでわかりやすく解説します。

 

1 補聴器の保証ってどんなもの?

補聴器の保証にはいくつか種類があります。保証内容は、製造元や製品、販売するお店によって異なりますが、一般的に以下のような保証があります。

1-1  製品保証

補聴器の製造元(ブランド・メーカー)が提供する保証で、製品に不具合や故障が発生した場合に、償で修理や交換を受けることができるサービスです。それぞれの補聴器メーカーが定めた条件に基づいて、製品に対する一定期間のサポートが受けられます。

通常、1年から3年程度の製品保証が付いていますが、補聴器本体の故障だけでなく、レシーバーなど補聴器に付属する一部の部品も含まれることがあります。

また、ブランドによってはクラス(価格帯)によっても保証内容が異なり、ハイエンドと言われる高価格帯の補聴器は保証が手厚くなっている場合もあります。

障害者総合支援法対象補聴器については、通常販売の補聴器よりも保証期間が短く、1年程度に設定されている場合が多いです。

1-2  紛失補償

せっかく買った高額な補聴器を失くしてしまった!また買い直すのはかなりの負担になりますよね。そんなときに安心なのがこのサービス。

補聴器を万が一紛失した場合、無償で同じ補聴器を支給してもらえます。

ただし、ブランドや製品によってサービス内容が異なり、紛失補償が付帯していない製品もありますのでご注意ください。

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1-3  有料の追加保証・補償

補聴器購入時に有料の保証・補償オプションを追加で付帯できるサービスです。

もともと紛失補償が付いていない補聴器を購入する場合でも、有料ですが紛失補償を付帯することができます。

サービス内容はブランドや製品によって異なり、ほとんど場合、補聴器を最初に買う時にしか付けられないため、購入時に補聴器販売店に確認することをおすすめします。

参考:主な補聴器メーカー・ブランドの保証体系(2025年4月現在)
ブランド名 シリーズ・クラス  修理保証 紛失補償
オーティコン インテント1
リアル1
モア1
オウン1
オープンS1
エクシード1
3年 1年間で1回 
(注1)
インテント2/3/4
リアル 2/3
モア 2/3
ジルコン 1/2
オウン 2/3/4/5
オープンS 2/3
ルビー 1/2
エクシード 2/3
プレイPX 1/2
オープンプレイ 1/2
エクシードプレイ 1/2
G300SC
2年
シグニア 7IX/7AX/7X/7Nx
5IX/5AX/5X/5Nx
3年 2年間で1回
3IX、3AX、3X、7px、5px 2年 1年間で1回
上記以外の器種 2年 なし
スターキー 24/2400/20/2000 3年 2年間で1回
16/1600 2年 1年間で1回 
1200/1000 2年 120日以内1回
Model S 2年 なし
フォナック プレミアムクラス補聴器 4年  2年間1台のみ100%保証
(注2)
アドバンスクラス補聴器 2年 2年間1台のみ100%保証
(注2)
上記以外の器種 2年 1年間1台のみ100%保証
(注2)
リオネット リオネット2マキシエンス
リオネット2マキシエンスV
リオネット マキシエンス
4年 1年間で1回
(注3)
リオネット2プレミエンス
リオネット2プレミエンスV
リオネット マキシエンスV
マジェスシリーズ
3年 なし
その他(注4) 2年 なし
リサウンド プレミアム9
リサウンド・ネクシア
3年  2年間で2回
プレミアム9(上記以外) 2年 2年で2回
ハイグレード7 2年 2年間で1回
スタンダード5
ベーシック4
2年 1年間に1回
バリュー4
バリュー3
2年 なし
バリュー2 1年 なし
ワイデックス MOMENT440
EVOKE440 
3年 3年間で1回
(MOMENT440は過失保証付き)
MOMENT330
EVOKE330 
2年 2年間で1回
上記以外の器種 2年 なし

(注1) 火災・盗難にあった場合、無料修理または同等器種再交付の補償
(注2) 紛失・盗難・全損時リニューアルサポート。両耳補聴器の場合も片耳1台のみ100%保証。
(注3) リオネット2マキシエンスのみ2年間で1回の紛失補償
(注4) 一部製品は1年保証

 ※総合支援法対象補聴器の保証については各ブランドもしくは補聴器販売店にお問い合わせください。

1-4  補聴器販売店の独自保証

一部の補聴器販売店では、製造元の製品保証に加えて販売店が追加的な保証サービスを提供する場合があります。
販売店独自の保証内容には、製造元の保証範囲を超えたサポートや特典が含まれていることもあり、補聴器を買った後の安心感につながります。

販売店独自保証の例としては、

  • 延長保証(製品保証の期間を延長する形で、長期間の保証を提供するもの(例えば、製品保証が2年の製品に販売店が追加で1年分の保証を付けて3年間保証してくれるなど)
  • 無料調整・アフターサービス
  • 消耗品の交換保証

などがあります。

販売店によって実施の有無・内容が異なりますので、補聴器購入前に確認しましょう。

2 保証書を失くしてしまったらどうする?

補聴器が故障したのでメーカーに修理に出そうと思ったら保証書が見当たらない・・。自分の補聴器の保証期間がいつまでなのかわからない・・。

そんな時は以下の方法を試してみてください。

2-1  購入した販売店に相談する

保証書を紛失した場合、まずは補聴器を購入したお店にご相談ください。

販売店に保証書の控えが保管してあったり、顧客カルテに購入記録がある場合はメーカーに問い合わせて保証書再発行手続きを行ってもらったりすることができます。

2-2 補聴器メーカーに相談する

補聴器を購入したお店がわからなくなったり、購入したお店自体がなくなってしまった場合は、メーカーに問い合わせするという方法もあります。

補聴器本体にブランド名とモデル・製造番号が刻印してありますので、その情報を手掛かりに補聴器をいつ購入したか、どのお店で購入したのかを調べてもらうことも可能です。

各メーカー・ブランドのホームページのお問い合わせフォームや電話で問い合わせることができます。

3 保証期間が切れてから故障したらどうなる?

補聴器から音が出ない、音が小さいような気がする・・。補聴器が故障したけどもう保証期間が過ぎている、そんな場合はどうしたらよいのでしょうか。

3-1  補聴器販売店に相談

補聴器の故障が疑われる場合はまず補聴器を購入したお店に相談しましょう。

補聴器のプロに補聴器の状態を確認してもらい、故障かどうか判断してもらうことが大切です。汚れ詰まりなど、不調の原因によっては店舗でのクリーニングや音の調整で改善される場合もあります。

メーカーに修理に出す場合でも、補聴器販売店を通して依頼する必要がありますので、まずは補聴器販売店にご相談ください。

3-2  修理費用の目安

修理費用の目安は故障箇所によりさまざまです。2~3,000円の比較的低価格で収まる場合から、5万円以上の高額修理になる場合も

見積金額により修理をするかどうか決めることもできますので、高額修理の場合には修理を中止して新しい補聴器に買い替えるという方法もあります。

費用・コストイメージ

3-3  修理可能な期間は限られているので要注意

各補聴器メーカーでは、製品の製造終了後も修理対応のため修理部品を一定期間保有しています。メーカーによって異なりますが、一般的に補聴器の修理可能な期間は「製造終了後約5~6年程度」とされています。

その期間を過ぎてしまうと、たとえ補聴器が壊れても修理できなくなってしまいます。

また、モデルによってはその期間を待たず部品の供給がなくなってしまう場合がありますので注意が必要です。

4 補聴器を紛失したらどうなる?

毎日使う大切な補聴器。もし失くしてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか?

1章でも触れましたが、万が一の紛失に備える「紛失補償」サービスの有無でどのように異なるのかご紹介します。

 

4-1  紛失補償がある補聴器の場合

紛失補償が付帯している補聴器の場合は以下の手順を行ってください。

  1. 警察に「遺失物届」を提出する
  2. 補聴器販売店に連絡し、補聴器を紛失した旨を伝える
  3. 補聴器販売店経由でメーカーに連絡し、新しい補聴器を受け取る(1 の遺失物届番号が必要になる場合があります)

※再交付の手順はメーカーにより異なる場合がありますので、詳しくは補聴器販売店にお問い合わせください。

4-2  紛失補償がない補聴器の場合

自分の補聴器に紛失補償が付帯していない場合は、まず家の中や心当たりのある場所を徹底的に探しましょう。それでも見つからない場合は新しい補聴器の購入を検討してください。

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5 こんな落とし穴に注意!保証対象外になるケース

保証期間内の故障でも、製品保証の対象外となるケースがありますのでご注意ください。

①自然故障以外での故障

多くの場合、メーカー保証は、誤った使用方法や不適切な使用は対象外となります。

例えば水没や強い衝撃による故障、MRIや電磁波による故障などです。

保証内容や対象範囲は、補聴器の使用説明書やメーカーの保証規定に明記されているので、購入前に確認することが重要です。

実際に過失故障と判断され、保証が受けられなかったケース

  • 自分で補聴器を改造した(補聴器の外装をデコレーションしたり、削る・分解等)
  • 補聴器を飼い犬・猫に噛まれて破損した
  • 補聴器を乾燥させようとして電子レンジに入れた
  • 病院で補聴器をつけたままMRIに入った
  • 補聴器を冷蔵庫・冷凍庫に入れてしまった
  • 洗濯機で衣類と一緒に補聴器を洗濯した

②破損

補聴器は落下による耐久性テストをクリアしている製品のため、通常使用での落下(手元やテーブルからの落下等)程度で破損することはほとんどありません。

そのため、補聴器の破損は多くの場合、使用者の不注意や誤った取り扱いが原因での過失故障とみなされ、保証対象外となります。

③他の国で購入した補聴器

補聴器の保証は国によりさまざまなため、同じブランドであっても他国で購入した補聴器は保証の対象外となります。

グローバルで展開している補聴器ブランドの場合、部品があれば修理自体は対応してもらうことは可能ですが、購入した国では保証期間内であっても、修理費用は有料になる可能性が高くなります。

また、同じブランドでも国によって取り扱いのないモデルの場合もありますので注意が必要です。

④補聴器本体以外の部品故障

補聴器の製品保証は原則「補聴器本体」のみに適用されます。そのため、耳せんや耳垢ガード、電池、充電器などの付属部品の故障は保証されません。

RICタイプのレシーバーとコードは保証対象になる場合がありますが、充電器は補聴器とは別に保証期間が設定されている場合もありますので注意してください。

⑤他の補聴器販売店で購入した場合の再調整・クリーニング費用

補聴器は購入した店舗でアフターサービスを行うことが一般的なため、購入店舗以外での音の調整やクリーニングなどのアフターサービスは有料になる可能性があります。

仮に製品保証期間内での修理を補聴器メーカーに依頼する場合でも、手数料がかかる場合がありますので事前にご確認ください。

補聴器の保証 Q&A

Q:補聴器に保険をかけることはできますか?

A:火災保険や自動車保険などの特約で「携行品損害特約の携行品」や「家財」として補償される場合があります。ただし保険会社や契約時期によって異なりますので保険の契約時に確認が必要です。

参考:

家財を補償の対象としている場合、眼鏡や補聴器の損害は補償されますか?/三井住友海上

携行品損害特約で補聴器の損害は補償されますか?/損保ジャパン

補聴器にかける補償|動産総合保険について | 法人保険ラボ

Q:補聴器を盗まれたらどうすればいい?

A:紛失した場合と同様、警察署に「盗難届」もしくは「遺失物届」を提出してください。紛失補償が付帯している補聴器の場合は補聴器販売店に連絡し、メーカーから新しい補聴器を受け取る手続きを行います。

関連記事:補聴器を落としたらどうすればいい?無くした補聴器を取り戻す方法

Q:補聴器が故障・紛失しないようにするためにはどうすればいい?

A:補聴器が故障しないようにするためには、補聴器をできるだけ清潔に保つことが大切です。補聴器販売店での定期的なクリーニングや日々ご自宅でケアをすることで補聴器の故障リスクを減らし、より長く快適に使い続けることができます。

関連記事:簡単3ステップで補聴器を清潔に|補聴器お手入れの基本を徹底解説

補聴器の紛失は、置き忘れが最も多いため、頻繁に着け外しをしないようにしましょう。耳から外れる心配がある方は、補聴器紛失防止用のストラップやアクセサリーを取り付けるという方法もあります。
万が一紛失した場合、専用アプリで「補聴器を探す」機能を搭載した補聴器もありますので、失くす心配がある方はそういったモデルを選ぶのもよいかもしれません。

関連記事:

スマホ対応補聴器の魅力!知っておきたい基本知識と6つの便利機能

デフメタル(補聴器紛失防止用アクセサリー) | Widex

まとめ

  • 補聴器の保証にはいくつか種類があります。
    • 製品保証:補聴器の製造元(ブランド・メーカー)が提供する保証。ブランドや製品によって保証内容・期間が異なります。
    • 紛失補償:補聴器を万が一紛失した場合、無償で同じ補聴器を支給してもらえるサービス。ブランドや製品によってサービス内容や付帯の有無が異なります。

    • 補聴器購入時に有料で付帯できる追加保証・補償もあります。
  • 保証書をなくしたら、補聴器を購入した販売店に相談するか、補聴器メーカーに相談してください。
  • 保証期間が切れてから故障した場合は、まず補聴器を購入した販売店に相談してください。
  • 修理費用の目安は故障箇所によりさまざまで、2~3,000円の比較的低価格で収まる場合から、5万円以上の高額修理になる場合もあります。
  • 修理可能な期間は、製造終了後約5~6年程度です。
  • 補聴器を紛失したら、まずは補聴器販売店に相談してください。紛失補償が付帯した補聴器の場合は、必要な手順に従って再交付してもらいます。

補聴器を購入する際には、保証内容をよく確認し、どんなケースで保証が適用されるのか、また保証期間内にどんなサポートが受けられるのかを確認することが大切です。
また、購入後に故障や紛失した場合は、まず購入した補聴器販売店に相談してください。