
最近聞こえ方が変わってきた、聞き漏らしていることがあるのは自覚している。
家族に言われるまでもなく、なにかしないといけないとわかっている。
でも、どうしても補聴器を使うことに抵抗がある……、補聴器を使いたくない……、補聴器を使うのが恥ずかしい!
そう感じてしまうのは、当然のことです。
あなたが感じるその気持ちに、なんと「日本文化」が関連しているかも、ということをご存じですか?
あなたと同じように感じている人は、この日本にたくさんいらっしゃいます。
どうしてそう感じるのか、文化的背景を踏まえてご説明します。
また、それを乗り越えてでも補聴器を使う必要性があるのかどうかも、ぜひ確認してみてください。
目次
1 「恥ずかしい」と感じるのは珍しい事ではない
「補聴器をつけるのが恥ずかしい」と感じてしまうのは、あなただけではありません。多くの人がそう感じ、補聴器を使うことを躊躇しています。
「難聴なのに補聴器を使っていない人」のうち25%の人が「補聴器を装用することが恥ずかしい」ことを理由として挙げています。
面白いことに、同じ調査ですでに補聴器を使っている人に聞いてみると、半数以上の人が「もっと早く補聴器を使えばよかった」と言っています。
補聴器を使い始める前に恥ずかしさで躊躇する人がいて、いざ使い始めたら始めたで、もっと早く使い始めればよかったと思う人が多い、という事ですね。
2 なぜ恥ずかしいと感じるのか
そもそも、どうして「補聴器をつけることは恥ずかしい」と感じてしまうのでしょうか。
そう感じてしまうのは、決してあなたが悪いわけではありません。
もしあなたが、日本で育ち、今日本で生活しているのであれば、日本文化の考え方が影響しているかもしれません。
日本文化には様々な考え方がありますが、このような考え方もあるとされます。
- 「若々しい」ことが美徳とされます。「若いこと」が良いとされ、歳をとったとしても「若々しい」状態を保ち、老化は避けるべきととらえられがちです。
- 「他人にどう思われるか」という事を強く意識する傾向があります。
この2つが合わさると・・・
人は、若々しくあるべきだ
↓
自分は他人から「あの人はいつまでも若々しい」と思われたい
↓
だが補聴器を使うと「あの人は老いた」と思われるのではないか
↓
そう思われてしまうくらいなら、補聴器を使いたくない
という思考になってしまい、補聴器を使わない・使うことができなくなってしまうといわれています。
3 本当に「恥ずかしい」と思われるのか?
前の章での「補聴器を使うと「あの人は老いた」と思われるのではないか」の部分について考えてみます。
本当にそうでしょうか?
あなたの周囲に最近補聴器を使い始めた人はいませんか?
あなたはその人のことを「あの人は老いた、なんて恥ずかしい人なんだ!」と思いましたか?
テレビに出ている人の中でも、補聴器をつけている人はたくさんいます。
俳優やミュージシャンで補聴器を使っている人は、意外と多いものです。補聴器をつけたまま、テレビに出ていますよ。補聴器をつけて、生き生きと演技をして歌を歌っています。
おそらくほとんどの視聴者が気づいていないと思います。共演者の人も知らないのではないでしょうか?
(ちなみに私は補聴器を扱う仕事をしているので、目ざとく気づいてしまいます。職業病ですね!)
議員さんも補聴器をつけている人は多くいます。人の話を聞く仕事ですから、そのためにしっかりと対策をしているのですね。
他にも、多くの有名・著名な人が補聴器を使っています。
その人たちを見て、あなたは「恥ずかしい人たちだ」と思いますか?
きっと思わないのではないでしょうか?
もしあなたがそうなら、あなたが補聴器をつけても、他の人があなたを「恥ずかしい人だ」なんて思うことは無いのではないでしょうか。
せいぜい「ああ、補聴器を使い始めたんだな、ふーん」と思われて、それでおしまいになると思います。
4 「補聴器をつけたほうが良いこと」はたくさんある!
ここまで考えてきたとおり、「補聴器をつけることは恥ずかしいことだ」という考えには、あまり根拠はなさそうです。
では、「補聴器をつけたほうが良い」ことはあるのでしょうか?
もちろんあります!それもたくさん!
その1. コミュニケーションの円滑化:
難聴になると会話が上手くいかず、コミュニケーションが滞りがちに。補聴器でしっかり会話をとらえることで、家族や友達とも楽しくやりとりすることができます。
その2. 社会活動への積極的な参加:
自信をもって外出し、地域の活動などにも参加し続けることができます。
その3. 認知機能への良い影響:
難聴は認知症の要因のひとつです。補聴器で脳に音を届け続けることによって、認知機能の維持に良い影響を与える可能性が指摘されています。
その4. 安全面の向上:
日常生活における警告音や環境音の聞き取りが改善します。車や自転車の走行音が聞こえるので、安全面でのメリットも期待できます。
その5. 精神的な健康への好影響:
聴力が低下してコミュニケーションが減ると、不安やストレスが増し、抑うつ感につながることも。補聴器の使用により精神的負担が軽減される可能性があります。
↓こちらの記事で1つずつ詳しく説明していますので、ぜひ確認してください。
5 まずは「いまの補聴器を」知ってみましょう
補聴器をつけても恥ずかしいとは思われない、補聴器をつけることのメリットはたくさんある。
それでも、どうしても補聴器に抵抗がある…。
大丈夫、それが普通の感覚です!
そもそも、あなたの中にある「補聴器のイメージ」はどのような物でしょうか?
こんな感じの、耳から大きくはみ出た機械でしょうか?
この写真は1985年のもの、今から40年も前のものです。
この40年の間に、補聴器はとても大きな進化を遂げました。
確かに今も、このような形の大きな補聴器は存在します。難聴度合いが高い人のための、パワーが強いものです。
ですが、「補聴器を使おうかどうしようか悩んでいる」あなた向けの補聴器は、ごく小さな目立たないものになるでしょう。
たいていの人は、あなたが補聴器を使っていることに気づかないでしょう。
「いまの補聴器」は、単に小さい・目立たないというのは当たり前になっています。さらに、デザイン性が上がり、とてもスタイリッシュになりました。
まるで最新のおしゃれなデジタルデバイスです。
私がこれまでにお会いしたユーザーの中には、「補聴器を使い始めたことをお友達に隠すつもりだったのだけど、あまりにもおしゃれで素敵なので、逆にみんなに見せびらかして自慢しているのよ」という方もいらっしゃいました。
6 「いまの補聴器」を試してみましょう
あなたは「いまの補聴器」にどんな感想をお持ちになるでしょうか?
ぜひ一度、補聴器のお店で実物を見てみてください。
補聴器のお店はこちらで検索できます。
お店では、いろいろな補聴器を試し聞きできるでしょう。そして、多くのお店では「数日間~数週間のお試し貸出し」をしてくれますので、普段の生活環境で使ってみてください。
この貸し出しは、多くのお店では購入を前提としたものではないので、安心してお試ししてみてくださいね。
補聴器のお店に行く前に、お店の様子が知りたいのなら、こちらの記事を。補聴器の専門店を取材したものです。
お店の様子は業態によって、また個々のお店によって違いますが、一例としてぜひ確認してみてください。
7 さいごに:
これまで、あなたはいくつの新しい機械を使い始めこられたたでしょうか?
電話の形は、あなたが小さなお子さんだった頃からいままでで、何度も変わってきたと思います。操作の方法もその都度大きく変わったと思います。
音楽を聞く機器は、ラジオやレコードからカセットテープへ、CDへと、何度も変えてこられたでしょう。
仕事で使う機械も、家電も、交通手段も、何度も新しいものを使い始めて、その都度柔軟に使いこなしてこられたのではないでしょうか。
補聴器もそのような機械と同じで、あなたが新しく使い始める機械のひとつでしかありません。
これまで新しいものを受け入れてこられたのと同じように、ぜひ補聴器のことも受け入れていただければと思います。