
「補聴器をつけたら、大好きな音楽が変に聞こえるのでは?」「これまで楽しんできたを曲や音楽を諦めなければいけないの?」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?実は、音楽を美しく聞くための機能が搭載されている補聴器があります。
今回は、音楽を存分に楽しむための補聴器の有用な機能の紹介から、補聴器の選び方まで、分かりやすくご紹介します。
目次
1. 補聴器で音楽は十分楽しめます
補聴器は周りのすべての音を拾って、その音を処理し、耳に届けます。
「音を処理する」というのは、例えば雑音をカットしたり、人の声を際立たせたり、大きすぎる音を控えめにしたり、というものです。
音楽を聞く場合も、このような様々な処理をされたうえで耳に届くため、補聴器を通すと音の細部が「今までと違う」と感じることがあるかもしれません。
でも、ご安心ください!補聴器でちゃんと「音楽を楽しむ」ことができます。
最近の多くの補聴器には、音楽を快適に楽しむための専用機能や設定などが搭載されているからです。
音楽を楽しむための機能は、主に以下の4つ:
- 音楽専用のモード
- ストリーミング機能でスマートフォンの音楽を補聴器へ直送
- 音楽専用の機能
- 補聴器専用アプリでの細かな調節
1.1 音楽専用のモード
補聴器によっては、使用する環境に合わせて、「音の調整プログラム」を設定することができます。
例えば、「1・通常モード」「2・騒がしい場所モード」「3・テレビモード」など、それぞれのシーンに最適な音になるように、機能の設定を変えたプログラムを補聴器に記憶させておくのです。
この設定は補聴器販売店にて、専用ソフトを使って補聴器のプロが行います。
このプログラム設定の中に、音楽の音質をより適切に処理してくれる「音楽モード」を設定することが可能です。
また、シグニア補聴器には「ハイレゾ音楽」というプログラムが用意されているクラスがあります。
上位クラスの補聴器だと「コンサート会場」・「自宅での音楽鑑賞」・「ご自身での演奏やカラオケ」3つのシーンに分けて、それぞれに最適な音響設定を提供してくれます。
これらのプログラムで、音楽を妨げる機能を抑えることができ、より音楽を楽しめます。
1.2 Bluetoothでスマホの音楽を補聴器へ高音質ストリーミング
最近の補聴器の多くには、スマートフォンと無線でつながる「Bluetooth機能」が搭載されています。
補聴器がスマートフォンと連携されていたら、スマートフォンで再生している音楽データを補聴器に飛ばし、直接補聴器から聞くことができます。
まるで高品質なイヤホンを使っているような感覚で、音楽を楽しめるのです。
また、パソコンやテレビからもなどからも音楽を補聴器に送ることができます。別売りの中継器が必要ですが、一度設置すると簡単に接続することができます。
1.3 音楽専用の機能:音質の幅広さが音楽体験を豊かにする
音楽を楽しむための重要な要素の1つは、音質の幅を表す「kHz(キロヘルツ)」という単位です。
これは音の高さ(周波数)の範囲を表す単位で、数値が大きいほど高い音まで聞こえることを意味します。
具体的には「FMラジオ」と「AMラジオ」で比較してみましょう。
FMラジオは15kHzまで対応し高音質な音楽番組を提供することができるのに対し、AMラジオは7.5kHzまでの対応となり音質がやや劣るため、ニュースやトークが中心です。そして、一般的な補聴器の多くはAMラジオと近い8kHz程度までで音の処理を行っています。
それは、補聴器がもともと「声をより聞き取りやすく」するために設計されているからです。
音楽を重視するなら、より広い範囲(高い音)に対応した補聴器を選ぶことが大切です。
例えばシグニア補聴器の上位器種には、12kHzというFMラジオにも迫る高い音まで対応している器種もあり、より高音質で音楽を楽しむことができます。
そしてもう一つ、音質に関するのが補聴器で集音する音の大きさ、音量(dBデシベル)の範囲です。
より大きい音までマイクで拾うことができると、原音に近いダイナミックな音質を再現することができます。
これも補聴器の器種によって集音可能な範囲が異なりますので、お店で確認してみてください。
1.4 補聴器専用アプリでの細かな調節
最近の補聴器の多くには、スマートフォン用の専用アプリが提供されています。
このアプリでは、主に「電池残量確認」や「音量のコントロール」ができます。
またその他に、「音質の調節」や「プログラムの変更」もできる場合が多いです。
例えば、音楽鑑賞時は、アプリの機能を活用して、以下のような細かな調節が可能です:
- 高音/低音(音質)のバランス
- 左右の音量バランス
- 音楽の種類に応じたプリセットプログラムの選択(器種によって限られています)
2. 音楽好きのための補聴器の選び方
音楽が大好きなら、補聴器を購入する時に絶対に失敗したくないですね。
自分の趣味や生活にマッチして、かつ日常生活をサポートしてくれる大切な相棒になる補聴器。
「音楽好き」の場合、補聴器選択の時にどの点を気をつけるべきなのかなどがわかると、きっと自分にピッタリの器種と出会えるでしょう!
2.1 補聴器店での相談時に必ず伝えるべきポイント
音楽を楽しみたい人が補聴器を選ぶ際は、必ず補聴器店の専門家に「音楽が好きで、特に○○(演歌、クラシック、昭和歌謡など)をよく聞く」、「よくコンサートに行く」、「ピアノを弾く」などを伝えましょう。
専門家は、あなたの生活スタイルやニーズに合わせて、最適な器種を紹介したり、調整をしたりしてくれるでしょう。
2.2 試聴で確認すべき4つのポイント
購入前に、実際に補聴器を試してみることもとても重要です。
特に音楽を重視する場合は、試聴の際は以下のポイントを確認しましょう:
- 好きな音楽ジャンルの聞こえ方
- 楽器の音色の自然さ
- 音のバランス(高音・低音)
- 音量調整のしやすさ
上記の4つのポイントについて感じた印象やフィードバックをお店の方に伝えましょう。
そうすると、より細かな調整をしてくれたり、別の器種を紹介してくれたりします。
2.3 補聴器ブランド別:音楽機能の特長
1章で説明したように、補聴器で音楽を楽しめるための主な機能やモードなどはありますが、実は、補聴器のブランドによっては、それぞれ独自の特徴もあります。
以下、5つのの特徴を紹介します:
・ワイデックス補聴器
自然な音質で定評があり、音楽愛好家から高い評価を得ているブランドです。
補聴器のプログラムを細かく設定することができ、専用アプリでも音楽のジャンルに合わせて「音楽モード」を選ぶことができます。
特に注目すべきは、ワイデックス独自の「トゥルーアコースティクス」技術で、これは個々のユーザーの外耳道形状やイヤチップの音響特性に合わせて増幅音を最適化する機能です。従来以上により自然な聞こえをもたらします。
・シグニア補聴器
1章で説明した通り、広い周波数範囲に対応し、より大きい音まで集音できる「ライブサウンド機能」や「ハイレゾ音楽」プログラムで臨場感のある音楽体験を提供します。
・オーティコン補聴器
「Oticon MyMusic」というプログラムを提供しています。
こちらは音楽を聴くために開発された専用の音楽のプログラムであり、音楽の複雑なダイナミクス(音の強弱)を捉える為に通常の音声処理とは異なる増幅を行います。
生演奏だけではなく、スマートフォンなどからの音楽ストリーミングにおいてもMyMusicで音楽を楽しむことができます。
https://www.oticon.co.jp/about/press/center/press-releases/2021/20211208
・フィリップス補聴器
「音楽体験プログラム」という音楽専用のプログラムを提供。
このプログラムは音楽を可能な限り高品質で楽しめるよう入念に設計されており、ライブ音楽の鑑賞時はもちろん、スマートフォンからの音楽ストリーミング時においても、補聴器で音楽体験プログラムを選択するだけで高音質な音楽を楽しむことができます。
https://www.hearingsolutions.philips.com/ja-jp/support/life-with-a-hearing-aid/connecting-to-other-devices/how-to-listen-to-music-with-your-hearing-aids
・フォナック補聴器
「AutoSense OS」という環境認識機能を搭載しており、周囲の音環境を自動で分析し、音楽が検出されると音楽再生に最適なプログラムに自動で切り替わります。
また、必要に応じて手動で設定できる「音楽プログラム」も用意されており、生演奏や楽器演奏、スピーカー再生などに合わせた音質調整が可能です。
https://www.phonak.com/ja-jp/professionals/innovations
3. よくある質問 Q&A
Q1:補聴器装用しながら音楽を聞きたい場合、ヘッドホンを補聴器と併用してもいいですか?
A: 推奨されません。補聴器の上からヘッドホンをつけると、音が歪む可能性があり、また音がうまく処理されないためうるさく感じる可能性があります。
現在の補聴器には高品質な音楽機能が搭載されているので、補聴器単体での音楽鑑賞をお試しください。
Q2:なぜ補聴器をつけると音楽の聞こえ方が違うのですか?
A: 補聴器は周りの音を拾って、聞きたい音がより明確になるよう、様々な処理をした音を届けてくれます。
もともと、このメインの処理は「人間の会話の声をより聞こえやすく」するためのもので、声に集中し、周りの音を抑えるような設計が基本です。
音楽にはさまざまな音が含まれており、その範囲も会話よりはるかに広いです。
一般的な補聴器ではそこまで拾い範囲の音には対応していないため、補聴器をつけると「音楽の聞こえ方が違う」と感じるわけです。
Q3:昔の補聴器と今の補聴器では、音楽の聞こえ方は違いますか?
A: 大きく違います。現在の補聴器は、音楽専用の機能が大幅に向上しており、より自然で美しい音楽体験が可能になっています。
特に、デジタル技術の発達により、音の歪みが少なく、細かな音のニュアンスまで再現できるようになりました。
まとめ
補聴器で音楽を楽しむことは、決して難しいことではありません。
現在の補聴器技術は、音楽愛好家の皆さんのニーズに十分応えられる水準に達しています。
重要なポイントをまとめると:
- 音楽専用の機能が充実した現代の補聴器なら、美しい音楽体験が可能
- 補聴器店では「音楽が好き」ということを必ず伝える
- 試聴を通じて、自分の好みに合った補聴器を見つける
- 環境に応じた使い方のコツを覚えて、様々な場面で音楽を楽しむ
多くの方々にとっては、音楽は人生の大切な楽しみの一つです。
まずは、ぜひお近くの補聴器店で相談してみることをおすすめします。
きっと、新しい音楽の世界が待っているはずです。