
「補聴器をつけているのに、ニュースの内容が全然入ってこない…」
「普通の会話は補聴器でよく聞こえるのに、テレビの声はどうにも聞き取りにくい…」
「テレビの音量を上げると家族に怒られてしまう…」
こんなお悩み、ありませんか?
実は補聴器ユーザーの多くが同じことで悩んでいます。どうして補聴器でテレビの音が聞きにくいのでしょうか?
この記事では、音量を上げずに、家族に気兼ねなくテレビを楽しむ方法をわかりやすく解説します。
今日から、あなたのテレビ時間が快適な時間に変わる第一歩を踏み出しましょう。
目次
1 どうしてテレビの音は聞き取りづらい?
補聴器は「人の声}をしっかりと聞き取るために作られた機器です。
テレビから聞こえてくる会話も、確かに「人の声」ではありますが、テレビという機械から音が出てくるときに加工されているため、目の前にいる人の声とは少し違っています。
また、周囲の音とテレビの音、両方が混ざって補聴器に届くため、テレビの音をしっかりと聞き取ることが難しい場合があります。
そもそも、テレビドラマはほかの番組よりも少し音が小さい場合があります。健聴の人でも、テレビドラマが始まると、それまでの番組よりも音を大きくすることがあるはずです。
そうであるなら、例えばひそひそ話をしているシーンで、口元が見えない場合などは、補聴器をつけていても聞き取りづらいのも当たり前かもしれないですね。
2 どうすれば?補聴器を持っているなら:まずは現状確認から
でも大丈夫、あなたの補聴器でもっとテレビを聞き取りやすくする方法があります。
まずはあなたの補聴器がどのようなものかを確認してみてください。
2.1 Bluetooth対応の補聴器かを確認
Bluetoothは、テレビの音を補聴器からよりクリアに聞くための、最も便利な機能です。
まずはお手持ちの補聴器がBluetooth対応かどうかを確認してみましょう。
確認方法①:取扱説明書やメーカーWEBサイトで調べる
補聴器購入の時に付属している取扱説明書ではBluetoothに対応しているか記載されていることが多いです。
もし取扱説明書が見つからない場合、補聴器のブランド名と器種名(例:オーティコン More™ 1、リオン サンデーベルなど)がわかれば、メーカーの公式サイトで仕様を確認できるでしょう。
「器種名+ Bluetooth」で検索してみましょう。
確認方法②:どうしてもわからなかったら、購入したお店に電話!
器種名をメモして、補聴器を購入した販売店に問い合わせるのが一番確実です。「テレビの音を直接聞けるようにしたいのですが、私の補聴器はBluetoothに対応していますか?」と聞いてみましょう。
ここで、Bluetooth非対応と判明した方は2.2へ、Bluetooth対応と判明した方は2.3へ進んでください。
2.2 Bluetooth補聴器ではない場合の解決策
Bluetooth機能がない補聴器でも、できることはあります!
方法①:テレビを見るときに補聴器の音量設定を変える
当たり前かもしれませんが、補聴器から出る音を大きくすれば、テレビの音が聞き取りやすくなります。
補聴器の音を変更する方法にはいくつかあります。
1. 補聴器本体での操作:
補聴器本体に付いている「音量調節ボタン」で音量を上げます。
2. リモコンでの操作:
補聴器に専用のリモコンがあれば、リモコンのボタンで、音量の上げ下げを行います。
3. スマホの専用アプリでの操作:
一部の補聴器は専用アプリで調整可能な器種があります。アプリ内のリモコンで補聴器を操作します。
大切なのは、聞き取りにくいテレビ番組が終わったら、音量設定を元に戻すことです。
補聴器の音をおおっくすると、全ての音(テレビの音も周囲の生活音も)を一緒に大きくしてしまいます。
不必要に大きな音で聞き続けないようにしましょう。
方法②:テレビ専用のプログラムを使う
多くの補聴器には、複数の聞こえのプログラム(状況別の設定)が登録できます。この登録は補聴器販売店で行います。
補聴器販売店で「テレビ視聴用」のプログラムを作成してもらい、テレビを見るときだけ切り替えると、テレビの音声の聞き取りに最適化されます。

方法➂:家族と相談してテレビの音量を変更する
これらの方法でも解決しないなら、テレビから出る音量を大きくする方法を取りましょう。
できれば事前に家族と相談して「ここまでなら大きくしてOK」という音量レベルを決めておくと、家族との軋轢も少なくて済むでしょう。
2.3 Bluetooth補聴器お持ちの場合
あなたの補聴器がBluetooth対応なら、補聴器専用の「テレビ用送信機」を用意すれば、最も快適な方法が利用できます。
従来の「補聴器の音量を上げる、専用プログラムで聞く」方法の場合、テレビのスピーカーからの音は距離、周りの雑音や部屋の反響の影響で、聞き取りづらいことがあります。
Bluetooth接続の利点は、テレビの音声をデジタル信号で直接補聴器に送り、補聴器が音に変換するため、テレビの音がクリアに補聴器から聞こえてきます。
Bluetooth補聴器をテレビと接続するためには、間に「テレビ用送信器」という中継機が必要になります。
■テレビ用送信機の価格の目安:
機器によって異なりますが、数万円〜 が相場です。
■製品例:
各補聴器メーカーが提供しているテレビ接続用の送信器は下記の通りです
●Oticon (オーティコン): TVアダプター
●Phonak (フォナック): TVコネクター
●Signia (シグニア ※旧シーメンス): TVサウンド
●ReSound (リサウンド): TVユナイトⅡ
●WIDEX(ワイディックス):テレビ プレイ/テレビ デックス
● Starkey(スターキー):Edge TV ストリーマー/TVストリーマー
※各リンクはメーカーの紹介ページです。
補聴器メーカーは自社の補聴器に対応したテレビ用送信機を提供していて、メーカー間の機器には互換性がないのはほとんどです。
自分の補聴器に対応する機器を選択・購入する時は、補聴器販売店にご相談ください。
Bluetooth補聴器とTV用送信器の接続方法
メーカーによって接続の方法は異なりますが、大きく分けて2つのステップになります。
1. テレビ用送信機をテレビに接続します。
2. テレビ用送信機と補聴器を、Bluetoothペアリングします。
「設定が難しそう…」と不安な方へ:
各補聴器メーカーは詳細な設定ガイドを用意しています。それでも難しいと感じたら、遠慮せずにご家族や補聴器販売店に設定をお願いしましょう。
最初の一度だけ設定してしまえば、あとは電源を入れるだけで自動的に接続されることがほとんどです。
2.3 補聴器お持ちでない方
意外な方法:テレビの高齢者や難聴者を想定したサポート機能
補聴器を持っていない方はまず、テレビの音声サポート機能を試してみてもよいでしょう。
いまのテレビには、難聴者や高齢者の方でも聞き取りやすい音声環境を提供するための、さまざまな音声調整機能が搭載されています。
以下に代表的な機能をまとめて説明します。
音声強調モード
人の声(セリフや会話)を強調して、BGMや効果音と区別しやすくする機能です。
聞き取りにくいドラマのセリフなどをより明瞭に。
例:Panasonicの「快聴音」モード、Sonyの「クリアボイス」、LGの「AIサウンドプロ(音声優先)」など
高音・低音の個別調整(イコライザー)
音の周波数帯(高音・中音・低音)を手動で調整できる機能です。
一般的に高音が聞こえづらいといわれている高齢者向けに、特定の音域(例:3000Hz〜4000Hz)を強調することで、話し声が明瞭になります。
字幕機能との併用
テレビの設定メニューやリモコンに「字幕」ボタンがある場合、これをオンにしましょう。
聞き取れない部分を視覚で補完できるため、認知負担が軽減され、内容の理解に役に立つでしょう。
テレビの機能は、あくまでテレビから出力される音を一般的な聞き手向けに加工するもので、一定の改善は期待できるものの、限界もあります。
テレビ内蔵の機能は「あると便利」な補助的なもので、補聴器+テレビ用送信器の利用が最も効果が高い方法と言えるでしょう。
これから補聴器を検討する方で、もしテレビをよく見るのであれば、そして周囲を気にせずクリアなテレビの音を楽しみたいのなら、補聴器購入時の器種選びが大切です。
販売店では、「Bluetoothでテレビの音声を直接補聴器に届けたい」とご要望を伝えてください。
最新の補聴器の多くはテレビと接続できます。
お店では実際にテレビ音声を試聽できるか確認し、ご自身にぴったりの器種を選びましょう。
3 Bluetooth補聴器でより快適に視聴するためのヒント
Bluetooth補聴器とテレビ用送信機の組み合わせでテレビの音声を聞く場合、下記の注意点を守れば、より快適に視聴できます。
適切な距離を保ちましょう
Bluetooth補聴器は、テレビとの間に壁や障害物があったり、離れすぎたりすると音声が一時的に途切れたり、「プツプツ」とノイズが入ることがあります。
目安として、テレビから数メートル以内にいると安定した音声が楽しめます。普段テレビを見る距離なら、まったく問題ないでしょう。
テレビと補聴器の間に遮るものが少ない環境を意識すると、より快適に視聴できます。
電池(または充電)のチェックもお忘れなく
Bluetooth接続中は、補聴器の電子部品が常に働いているため、普段より少し電池の減りが早くなることがあります。
「いいところで電池切れ……!」なんてことがないように、テレビをゆっくり楽しみたい日は、視聴前に電池残量を確認しておくと安心です。
充電式の補聴器をご使用の方は、視聴前にフル充電しておくと、途中で止まる心配なく楽しめます。
4 よくある質問と不安
Q: テレビ用送信器の設定は難しくない?
A: Bluetooth補聴器は、補聴器と機器を一度ペアリングすれば、一般的には自動で再接続してくれます。
専門家やご家族が最初に一度設定してしまえば、あとは電源を入れるだけなものが多いです
Q: テレビ用送信器の値段は高いの?
A: 数万円からの製品が多いですが、生活の質(QOL)を考えれば有効な投資とも考えられます。
また、家族の複数人の補聴器を使っている場合も、送信機は1台でOK。複数の補聴器を1台のテレビ用送信機につなげることができます。
さらに同じメーカーであれば、補聴器を買い替えてもテレビ用送信機はそのまま使えることが多いです。
まずは体験してみましょう。
Q: どこで買えるの?試せる?
A: まずは補聴器を購入した販売店でご相談を。多くのお店では体験もできます。
5 まとめ
もう一度、大好きな番組を心から楽しみませんか?
もう一度、テレビの音をしっかり聞いて、ドラマのセリフに笑ったり、ニュースにうなずいたりする時間を取り戻してみませんか?
音がはっきり聞こえると、気持ちも明るくなります。
その一歩が、きっと毎日をちょっと楽しくしてくれるはずです。諦めていたテレビの時間が、楽しい時間に変わります。
まずは一歩を踏み出してみましょう。
まとめ:
· 補聴器ユーザーなら、まずは手元の補聴器が「Bluetooth対応かどうか」をチェック
· Bluetooth補聴器なら、テレビ用送信器を別途購入し、クリアな音声が楽しめます。補聴器を買ったお店に相談を。
· 補聴器をお持ちでない方は、Bluetooth補聴器を検討してみましょう。