難聴で障害者手帳は交付される?条件から助成内容や手続きまで解説

聴力が著しく低下している場合には、身体障害者手帳が交付されるケースがあることをご存知でしょうか。

障害者総合支援法には、障害の重さの程度によって、補聴器など補装具の費用が支給される制度があります。つまり、身体障害者手帳の交付が受けられれば、補聴器を購入する際に助成を受けることができます。

ですが難聴には、比較的軽度のものから重度と呼ばれるものまで、聴力低下の度合いに応じてさまざまなレベルがあります。

ここでは、身体障害者手帳交付の対象となる難聴の程度や、障害者手帳を申請するための手続き方法、実際に補聴器購入の助成制度の内容まで詳しく解説します。

1 障害者手帳交付の条件は?

難聴で障害者手帳を交付されるための条件は、主に聴力の状態や障害の程度に基づいて決まります。

1-1 聴力検査の結果

難聴は、その進行度合いによって「軽度」「中等度」「高度」「重度」の4段階に分かれています。

耳鼻咽喉科で聴力検査(主にオージオメーターという機器を用いた検査)を受け、その結果により難聴の程度が判定されます。

特に「高度」や「重度」の難聴の場合、障害者手帳を交付される可能性が高くなります。

聞こえ方の程度と難聴の種類
聞こえ方の程度と難聴の種類

1-2 障害の状態

難聴によって生活に支障が起きているような場合には、障害者手帳の交付の対象になってきます。

たとえば、会話やコミュニケーションに困難が生じている場合や、日常生活で補聴器などを使わないとほとんど聞こえないというような場合が該当します。

2 障害者手帳交付の対象となる聴力

障害者手帳における難聴の障害程度の等級は、聴力の低下具合をもとに評価され、以下のように区分されています。
等級は、聴力の状態だけでなく、生活への影響(例えば、会話の難易度など)も考慮される場合があります。

聴覚障害の障害者手帳の等級は、耳鼻科での聴力検査の「平均純音聴力」と「最良語音明瞭度」の検査結果によって判定されます。等級は6級から2級までで、数字が小さくなるほど重度であることを示します。(5級と1級は該当しません)

これらの検査は、自治体が指定した耳鼻咽喉科判定医で受ける必要があります。この検査結果を元に、医師が障害者手帳交付の意見書(後述)を記入します。

 

身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)より

級別 聴覚障害の状態
1級 該当なし
2級 両耳の聴力レベルがそれぞれ100デシベル以上のもの(両耳 全ろう)
  • 電車が通過しているガード下の音以上の大きさでないと聞こえない
3級 両耳の聴力レベルが 90デシベル以上のもの(耳介に接しなければ大声語を理解し得ないもの)
  • 耳元での大声レベルの音でも聞き取れないことがある
4級
  1. 両耳の聴力レベルがそれぞれ 80デシベル以上のもの(耳介に接しなければ話声語を理解し得ない もの)
    または
  2. 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
  • 耳元での大声レベルでないと聞き取れない
  • 普通くらいの大きさの日常会話でもしばしば聞き間違える。重要な会話は確認やメモの併用が必要となる
5級 該当なし
6級
  1. 両耳の聴力レベルが70デシベル以上のもの(40センチメートル以上の距離で発声された会話語を理解し得ないもの)
    または
  2. 一側耳の聴力レベルが90デシベル以上, 他側耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
  • 非常に大きな声でないと聞き取れない

出典:身体障害認定基準等について | 厚生労働省

3 身体障害者手帳を取得するまでの流れ

聴覚障害で身体障害者手帳を申請し、取得するまでの流れは一般的には次のようになります。

STEP 1:お住まいの市区町村の役所内「福祉課窓口」に相談

自分が住んでいる自治体の福祉課窓口に行って、身体障害者手帳を申請したい旨を伝え、必要な書類や手続きの方法等について教えてもらいましょう
障害者手帳交付の申請書も窓口で入手することができます。

聴覚に障害がある場合には、筆談や手話通訳での対応が可能な自治体もあるようです。

STEP 2:指定の耳鼻科で診察・検査を受け、「診断書・意見書」を作成・交付してもらう

難聴の程度を判定するために、自治体指定の耳鼻科(耳鼻咽喉科判定医)で診断と検査を受ける必要があります。

その結果に基づいて、医師が申請に必要な「診断書・意見書」を作成してくれます。

耳鼻咽喉科判定医とは

身体障害者手帳の交付申請に必要な「身体障害者診断書・意見書」を作成する医師です。

医師の指定は、医療機関の所在地別に、都道府県知事(指定都市長、中核市長を含む。)が地方社会福祉審議会の意見を聴いた上で行います。

身体障害者手帳交付のための診断書・意見書とは

申請者の身体の障害についての状態や等級を医学的に証明・記載したものです。

身体障害者手帳を申請する際に必要な書類で、指定された医師によって作成してもらいます。

 

【主な記載内容】

  • 障害の種類(例:視覚障害、聴覚障害、肢体不自由など)
  • 障害の程度(身体障害者福祉法に基づく等級)
  • 発症時期や原因
  • 障害の固定性(回復の見込みがあるかどうか)

【作成】

原則として、指定された医師のみが作成できます。

  • 総合病院や大学病院の専門医
  • 地域の指定されたクリニック等の医師
身体障害者手帳交付のための診断書・意見書(一部抜粋)

出典:東京都心身障害者福祉センター>身体障害者手帳>身体障害者手帳診断書・意見書>聴覚障害

STEP 3:所定の書類を揃えて、福祉課窓口で申請を行う

医師に作成・交付してもらった「診断書・意見書」「申請書」など所定の書類を福祉課窓口に提出し、身体障害者手帳の交付申請を行います。

申請時に必要なものは一般的には以下の通りですが、福祉課に確認するようにしましょう。

  • 身体障害者手帳交付の申請書
  • 医師に作成してもらった診断書・意見書
  • 顔写真
  • マイナンバーカード(無い場合は番号が確認できるもの+運転免許証など本人確認ができるもの)
  • 代理人が申請する場合には、委任状や代理人の本人確認書類が必要になります

STEP 4:障害の程度に応じた等級の身体障害者手帳が交付される

提出された書類を元に審査が行われ、障害の等級を決定し、等級に応じた身体障害者手帳が交付されます。

申請から交付までには、およそ1ヶ月~4ヶ月かかります

診断書・意見書の内容について指定医への確認が必要になる場合や、障害が手帳の交付に該当しないと判断された場合や、等級認定に専門審査が必要となった場合などには、より多くの日数がかかります。

 

4 身体障害者障害程度等級表に応じて受けられる助成

身体障害者手帳を持っている人には、補聴器を購入する際に、障害者総合支援法に基づく国の助成を受けることができます。

↓こちらの記事を参考にしてください

 

 

 

助成制度
障害者手帳を持っている人には、補聴器を購入する際に国による助成制度があります

まとめ

  • 聴力の程度や、難聴によって生活に支障が起きているような場合には、聴覚障害で身体障害者手帳の交付を受けられる場合がある
  • 問合せや身体障害者手帳交付の申請は、お住まいの自治体の福祉課へ。ここに相談して、必要な書類や手続きの流れを教えてもらうようにする
  • 身体障害者手帳の交付を受けるためには、自治体が指定した耳鼻咽喉科判定医で検査を受けて、障害者手帳交付のための診断書・意見書を作成してもらう必要がある
  • 申請の際に提出した書類を元に審査が行われ、決定した障害の等級に応じた身体障害者手帳が交付される
  • 障害の等級に応じて、支給対象の補聴器や助成金額が異なってくる

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