
最近ではネットオークションやフリマアプリが人気ですね。使わなくなったものを捨てるのではなく、リユースすることが多くなっているようです。
経済的な面だけではなく、環境にも配慮できるため、中古品のリユースは私たちの身近なものになってきています。
2023年のリユースの市場は3兆円以上*と言われており、年々市場規模が拡大しています。
それでは、「補聴器の中古品」は購入できるのでしょうか?
補聴器は一般的に高額なので、購入費用を抑えるために中古品を…、と思ってしまいますよね。
ですが結論からいうと、補聴器の中古品はほとんどなく、販売していても買わないほうがいいのです。
それではなぜ中古品が出回らないのか、購入しないほうがいいのか、その理由を6つご紹介していきます。
目次
補聴器の中古品を買わないほうがいい6つの理由
理由1 補聴器の中古品販売は違法の可能性が高い
なんと、補聴器の中古品は違法の可能性が高いのです。
なぜなら「補聴器は厚生労働省の承認を得た管理医療機器」で、販売の方法にもルールがあるからです。
- 補聴器を販売するには管理医療機器販売業及び賃貸業の許可を受けている必要があります。
- 医療機器の中古品の販売する際、販売業者は製造業者に通知する必要があります。ただし、補聴器製造業者(メーカー)は中古品の販売を認めていないケースが多いです。
この条件を満たした中古の補聴器は、ほとんどないと言ってよいでしょう。
つまり、お店で中古補聴器を購入できるところは、ほぼないでしょう。
では、ネットオークオークションやフリマサイトなど、「個人で出品する」場所ではどうでしょうか?
補聴器の場合、個人で出品する場合も「医療機器販売業の許可」が必要になります。
この許可を持っていて、補聴器メーカーの許可を取ったうえでネットに出品する、という事はほぼ不可能でしょう。
つまり、ネットに出品されている中古補聴器は、違法である可能性が高いのです。
万一出品されていたものを購入すると、トラブルに巻き込まれてしまうかもしれませんので、購入しないようにしましょう。
また現在ネットオークションで「補聴器」と検索すると、結果として表示されるものはほとんど「集音器」です。補聴器とは違いますので、混同しないように注意しましょう。
補聴器と集音器の違いは下記で詳しく知ることができます。
補聴器と集音器の違いとは おすすめの人・購入時のポイントもご紹介
参考資料
医療品医療機器等法 管理医療機器の販売業及び貸与業の届出 第39条の3
医療機器の販売業及び修理業の取り扱いに関する質疑応答集(Q&A)について
理由2 使えない可能性がある
補聴器の中古品は、次の理由で使用できない可能性があります。
- 聴力が合わない可能性がある
- 耳の形に合わない可能性がある
補聴器は難聴の度合いによって、使うべき補聴器の種類が変わってきます。
軽めの難聴の人が、重い難聴用の補聴器を使用すると、聞き取りが改善されないだけではなく、過度な音量に晒されて耳を傷めてしまう可能性があります。
また補聴器の中には、その人の耳の形に合わせて作った「オーダーメイドの補聴器」もあります。
耳の形は、指紋と同じように一人ひとり全く違いますので、他の人の耳の形には合いません。
そのため、使えない可能性が高いでしょう。
例外として、親族が使っていたオーダーメイド補聴器を譲り受けたい、という申し出が受け入れられる場合があります。
この場合、事前に販売店を通してメーカーに確認する必要があります。*
*メーカーによって対応が異なることがあります。
理由3 音質調整ができない可能性がある
補聴器は一般的に、補聴器販売店で使う人の聴力に合わせて音質調整をして使用します。
この調整は、多くの場合その補聴器が販売された補聴器販売店で行われることを前提としていますので、中古品は音質調整をしてもらえない場合があります。
また、調整してくれるとしても、調整料として費用がかかることもあります。
理由4 すぐに故障してしまう可能性がある
補聴器は一般的に製品寿命が5年間とされています。そのため、前オーナーの使用歴や、使用方法によってはすぐに故障してしまう可能性があります。
中古品の製品状態を一般の方が判断するのは困難です。リスクが高いことを知っておきましょう。
理由5 修理ができない可能性がある
補聴器には、メーカーが決めた「修理期間」があります。
多くのメーカーは、その器種が販売終了した時点から5年間は修理を保証していますが、この期間を超えた器種は修理ができなくなります。*
*メーカーにより期間は異なります。
中古品の補聴器の場合、購入した時点で修理ができなかったり、購入後すぐに修理期間が終了するというリスクがあるのです。
理由6 衛生面に問題がある可能性
補聴器は耳に装着して、肌に直接触れさせて使用するものです。そのため、耳の病気など感染症の観点から衛生的に問題があると言えます。
まとめ
ここまでご紹介した通り、補聴器の中古品購入は様々なリスクがあります。
リスクが多いからこそ、多くの補聴器メーカーは中古品の販売を認めていないのが現状です。
補聴器の中古品の条件:
・補聴器のメーカーが認めた中古品であること
・管理医療機器販売業及び賃貸業の許可を得ている販売業者であること
この2点をクリアしている場合は、購入は可能ですが、リスクを考えると購入しないほうがいいと言えるのです。
補聴器の中古品についてQ&A
Q 親戚知人から譲り受けた補聴器を使ってもよい?
使用することは可能な場合が多いですが、一度補聴器販売店に相談してから決めることをおすすめします。
また、上記に記載した通り、オーダーメイド補聴器では耳に合わないことや、音質調整に調整料がかかることもあります。
Q 使わなくなった補聴器をオークションに出してもよい?
個人で補聴器を転売するような場合でも、管理医療機器販売業の許可が必要です。また中古品を販売する場合は、製造業者に通知する必要があります。
オークションに出すのは止めたほうがいいでしょう。
Q 電池や補聴器関連製品をネットオークションで購入してもよい?
補聴器ではないので違法な販売ではないですが、注意が必要です。
例えば補聴器用の空気電池は消費期限があり、期限が過ぎている場合は使えない可能性があります。
購入は自己責任となりますが、リスクがあることを知っておいてください。