訪問!インドの補聴器販売店【シリーズ:海外の補聴器事情】

「きこえナビ」では、日本国内の「難聴や補聴器についての情報」をお伝えしていますが、海外事情についてはほとんどお伝えしていません。

ですが、「耳が悪くなる」というのは万国共通のはず。

他の国では「難聴」にどう対処しているのでしょうか?

「補聴器」はどのように使われているのでしょうか?

 

早速「インド」から情報が入ってきましたので、インドの補聴器事情をお届けします。

インド国内での難聴率や補聴器を使っている人の率、国を挙げて行っている様々な取り組み、そして補聴器のお店のこと。

最近オープンした最新式のお店の中の動画もありますので、ぜひインドの補聴器事情をチェックしてみてください。

インドの補聴器事情

インドは、2023年の統計では世界第1位の人口を有し、14億人以上の人が暮らしています。(いつの間にか、中国よりも人口が多くなっています)

カレーを代表する様々な食べ物や、インダス文明発祥の地、仏教発祥の地、最近ではインド映画(ボリウッド)も有名で、日本でもなじみが深い国ですね。

インドを想起させるイメージ画像

インドでは人口の6.3%の人が「重度の難聴」を抱えている、という情報が国立聴覚障害予防・管理プログラムから発表されています。

日本では「自分が難聴だと思う」人は人口の10%というデータがあります。ですがこれには軽い難聴も含まれているので、インドの「重度の難聴」と単純比較はできません。

そしてインドでは人口の3.9%の人が補聴器を装用している、というデータがあるそうです。重度な難聴があると自覚している人のうち66.4%の人、という事になります。
ただし、これは経済的に恵まれている階級を代表したデータで、インドの全人口のデータという事ではないとのことです。
実際に補聴器を使っている人はもっと少なくなるでしょう。

日本では人口の1.5%が補聴器を持っているそうです。インドよりも少なく見えますが、これも単純比較はできません。

インドデータ出典:National Health Mission | NPPCD
日本データ出典:日本補聴器工業会実施調査、JAPAN_Trak_2022_report.pdf

 

インドで補聴器装用者が少ないのには、いくつかの理由があるとか。

  • 補聴器が高額なこと。多くの人にとって、補聴器は非常に高額です。そのため、難聴になっても補聴器を使用できる人は限られています。
  • 補聴器販売店が少ないこと。広い国土の中で補聴器販売店があるのが都市部に偏っているため、店舗に行って購入することができない人が多くいます。また、都市部にも十分に補聴器販売店があるわけではありません。
  • 補聴器のことを知っている人が少ないこと。「難聴になったら補聴器をつける」という選択肢があること自体、十分に認知されていません。
  • 補聴器に対するネガティブなイメージ。補聴器をつける、という事がネガティブにとらえられる風潮があります。

 

インドでの難聴に対する取り組み

今インドでは、難聴に対処する人を増やすために、国や自治体、民間組織が様々な取り組みを行っています。

  • 2025年3月3日から9日にかけて「National Hearing Week 2025」(全国聴覚週間)という大規模な催しが行われました。
    マタナンド福祉財団という非営利団体と、インドの製薬会社ENTODによって実施され、インド全国で3,000万人に「世界を聞こう:早期に難聴を発見して、早期に対応しよう」というメッセージが届けられました。
    ソース: https://nationalhearingweek.org/2025-campaignインドで行われたNational Hearing Weekのホームページ

 

  • インド政府は、聴覚障害対策の国家戦略として「国民の難聴障害の予防と管理プログラム」を継続的に実施しています。
    ソース: https://health.mizoram.gov.in/page/nppcdインドのHealth & Family Welfare Departmntのロゴ

インドで耳の日に行われたイベントのバナー

 

 

最新の補聴器の販売店

国を挙げて様々な対策を行っていますが、補聴器装用が広がらない原因の一つに、補聴器の販売店が不足していることもあります。
広大な国土と世界一の人口をカバーできるだけのお店の数が無い状態です。

ですが、それがビジネスチャンスにもなっているようで、今インドでは補聴器販売店が次々にオープンしています。

世界6大補聴器ブランドのひとつ、ワイデックス補聴器専門の販売店、「ワイデックス サウンド センター」も店舗を増やしています。
インドの主要都市に店舗を構え、2025年4月現在、20店舗がインド各地にあるようです。

これらの店舗は「ハイエンド」な部類になり、補聴器を販売するための様々な専門機器をそろえ、音響設備が整った部屋を備えています。

インド国内の補聴器販売店としてはトップクラスの販売店で、ここまで設備が整った販売店は、インドではまだ少ないとのこと。

 

そのうちの1つの店舗から動画が届きました。インド南部の東岸沿いのチェンナイという都市にあるお店です。

 

動画:ワイデックス サウンド センター チェンナイ

 

お花の飾りが素敵ですね!インドでは、お祝いやお祭りのときに、このようにお花でデコレーションするそうです。インドの補聴器販売店、ワイデックス サウンド センターの店内。

 

お店の奥の方に、簡単な聴力チェックや補聴器の聞こえ方を体験できるコーナーがあります。

ここで難聴者本人やご家族に聞こえ方について、補聴器についての説明をします。

インドの補聴器専門店、ワイデックス サウンド センターの内部。

 

聴検用のブースは、内装が青くてカッコいいですね!
ブース内は狭いので、苦手な人もいそうですが、落ち着いて測定を受けることができそうです。

インドの補聴器販売店、ワイデックス サウンド センターの聴検室

 

補聴器の必要性

インドの補聴器事情をお伝えしましたが、「歳をとって難聴になる」というのは世界中で共通の事象です。

そして「補聴器に対する抵抗感」も、残念ながら世界中に存在していますし、難聴の人に補聴器がいきわたっていないのも事実です。

WHO(世界保健機構)は、難聴に対応することの大切さを継続して発信しています。
難聴になったのに、それに対処することが遅くなると、難聴が進行するだけでなく、生活の質を大きく下げ、様々なリスクが発生することに繋がるからです。
出典:WHOファクトシート-Deafness and hearing loss

補聴器が必要な人に、適切なタイミングで補聴器を届ける」ことは、WHOが、そして世界中の補聴器メーカーや販売店に共通する課題です。

インド国内で行われている様々な取り組み、そして増えてきている補聴器販売店が、今後インドでの補聴器装用の実態を変えていくことになりそうですね。

 

この「海外の補聴器事情」シリーズでは、これからも様々な国での補聴器事情をご報告していきます!
次の国はどこでしょうか…?楽しみにお待ちください!

お店を見学してみませんか?

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新しい音を探しに、

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