
「今の補聴器、まだ使える?」、「そろそろ買い替えた方がいい?」。。。長く使っていると、こんな疑問がでてきますよね。
家電製品と同じように、補聴器にも耐用年数があります。直接身体に装着する機器だけに、その期間はかなり短く、一般的に5年が目安とされています。
ただし、「5年経ったら必ず買い替え」と決められているわけではありません。
もし今あなたが迷っているのなら、耳鼻科や補聴器販売店で相談しながら、次の3つのポイントをチェックしましょう!
✓日常生活に合わなくなっていないか
✓補聴器が正常に機能しているか、修理が可能か、修理費用が高額にならないか
本記事では、補聴器の買い替え判断の3つのポイントや、新しい補聴器の選び方、助成制度の活用について詳しく解説します。
目次
1 補聴器の寿命は5年だと言われている
補聴器の寿命平均は、そもそもどれぐらいなのか、気になりますね。
答えは、一般的に 5年 と言われています。
厚生労働省の定める「総合支援法」で、「補装具としての耐用年数が 5年」と規定されているのです。
一般的な家電も、耐用年数の目安が5年、というものも多くありますよね。
補聴器の耐用年数には、補聴器ならではの理由があります。
- 補聴器は毎日、また長時間、直接「耳の肌」と接触するように装着します。そのため、耳垢・皮脂・汗などが付着します。
- 補聴器は精密機器です。そのため、湿気・ほこり・花粉などから様々な影響を受けます。
これらが負担となり、長年使い続けることで補聴器の劣化が進みます。
劣化を少しでも食い止めるためには、 日々のお手入れが重要になってきます。
是非こちらの記事で、補聴器のお手入れ方法を確認し、少しでも長く補聴器を使えるようにしてください。
簡単3ステップで補聴器を清潔に|補聴器お手入れの基本を徹底解説
2 補聴器の買い替えの判断基準
補聴器の寿命平均が5年と言われても、「実際にいつ買い替えるべきか?」は悩むところですね。
買い替えのタイミングを判断する基準として、大きく3つのポイントがあります。
・日常生活に合わなくなった時
・修理が必要になった時、修理費用が高額になった時
それぞれ、詳しく見ていきましょう!
2.1 聴力に対応しなくなった時
難聴、と一言で言っても、ごく軽いレベルの難聴から、ほとんど何も聞こえない状態の難聴まで、様々なレベルがあります。
どの大きさの音が聞こえるかで、4つの難聴レベル「軽度難聴」「中等度難聴」「高度難聴」「重度難聴」に分けられています。
そして補聴器には、どの難聴レベルの人でも使えるものもあれば、限られたレベルに特化して作られているものがあります。
これを補聴器の「適応聴力」と言います。
例えばこの小さな補聴器は「適応聴力:軽度~中等度難聴」で、軽めの難聴の人向けです。
この大きな補聴器は、どの難聴レベルにも適応しています。
一般的に、小さい補聴器は軽めの難聴の人向けで、大きくなればなるほど大きな音が出るので、重い難聴の人に向いています。
補聴器を購入する時は、多くの場合「その時の難聴レベルより1つ上の難聴レベルまでカバーしている」ものを購入するよう勧められます。
例えば、軽度難聴の人は、「軽度~中等度向け」の補聴器の購入を勧められるでしょう。
すると、難聴が進んで聞こえ方が合わなくなった、つまり難聴度合いが進んで音が小さく感じるようになった場合でも、補聴器販売店で調整してもらって音を大きくし、またしっかりと聞こえるようになります。
ですが、購入当初から聴力が大きく変化して、「補聴器の適応聴力」を越えてしまった場合は、その補聴器では十分な補聴効果が得られなくなってしまいます。
その時には、補聴器販売店と相談して、自分の新しい難聴レベルに合った、新しい補聴器に買い替えることをおすすめします。
2.2 日常生活に合わなくなった時
生活環境が変わると、それまで使っていた補聴器が新しい生活のニーズに合わなくなることがあります。
例えば、以前は静かなオフィスで働いていたのに、今は営業職で屋外で過ごす時間が増えた場合。
これまで重視していた「静かな環境での聞き取り」や「落ち着いた会話の明瞭さ」の観点よりも、むしろ「騒がしい場所での雑音抑制」や「風の音を軽減する機能」が必要になるかもしれません。
また、住環境の変化も影響します。赤ちゃんが生まれて家の中がにぎやかになったり、家族と同居を始めたり。
こうした変化に合わせて、「周囲の騒音を抑えつつ会話を強調する機能」や「方向感を高めるマイク機能」を搭載した補聴器に買い替えることで、より快適に過ごせる可能性があります。
ただし、すぐに買い替えを決めるのではなく、まずは補聴器販売店で現在の補聴器の調整を試してみましょう。今の補聴器に搭載されている機能で、十分改善できる場合もあります。
それでも聞こえにくさや違和感が続くようなら、買い替えを検討するタイミングかもしれません。
2.3修理が必要になった時、修理費用が高額になった時
補聴器が正常に機能せず、修理が必要になったときも、買い替えを検討するタイミングの1つです。
修理ができる場合でも、故障の内容によっては修理費用が高額になることがあります。高額な修理費用を払うのなら、いっそのこと新しい補聴器に買い替える、ということも考えてみてもいいかもしれません。
また、多くの補聴器には修理保証のサービスが付帯されていますが、一般的な家電製品と同様に、保証期限が決められていることがほとんどです。
修理保証期限を過ぎると、修理代金が一気に高くなります。
また、何年も前に購入した補聴器の場合は、メーカーが修理対応を終了することがあり、修理自体ができなくなる可能性があります。
下記の場合は、修理をするか・新しい補聴器を購入するか、慎重に考えたほうが良いでしょう。
- 修理保証期間が過ぎてしまった、または期限が間近に迫っている場合
- 修理を何度も繰り返している場合
- 修理費用と、新しい補聴器の購入費用に、あまり差が無い場合
- 古い補聴器で、メーカーが修理対応を終了している場合
現在の補聴器がまだ使えるうちに、販売店で専門家と相談しながら、自分に最適な新しい器種を慎重に選びましょう。
3 新しい補聴器を選ぶポイントと注意点
補聴器を買い替える時には、以下の4点を意識しながら選ぶと良いでしょう。これらは基本的に、初めて補聴器を購入する時と同じです。
①自分の聴力に合ったもの
聴力をしっかりカバーできる補聴器を選びましょう。聴力測定を行い、対応ができる適切な器種を選択することが大切です。
②生活スタイルに合ったもの
普段の生活、仕事などで必要になる機能が備わっている補聴器を選びましょう。
現在と生活環境が大きく変わっていない場合は、同じレベルの補聴器でも十分かもしれません。
ただし、補聴器は常に進化しているものです。Bluetooth機能の搭載や充電式モデルなど、便利な新機能が加わっている可能性があるため、確認するとよいでしょう。
メガネやマスク、帽子をよく使う方は、邪魔にならないタイプにも注目してください。
③予算に合ったもの
補聴器販売店と相談して、自分の予算に合った補聴器を選びましょう。
また、できる限り両耳での使用を優先することをおすすめします。
④その他の希望
上記3つ以外にも、「目立たないデザインがよい」、「取り扱いが簡単なものがよい」など、あなたが希望することについても考慮して選びましょう。
以上、4つのポイントを挙げましたが、どれも自分だけで判断して補聴器を選ぶのは難しいものです。耳鼻科や販売店の専門家に相談しながら選ぶことが大切です。
4 買い替え費用の相場と予算の考え方
補聴器にはさまざまな形や機能があり、選ぶ器種や搭載されている技術によって価格が大きく異なります。最新の機能を備えたモデルや高性能な機種ほど、価格が高くなる傾向があります。
一部の販売店では、補聴器の下取り制度を実施している場合もあります。買い替えを検討する際は、利用できるサービスがあるかどうか、事前に確認するとよいでしょう。
補聴器の価格相場については、詳しくは、ぜひ以下をご確認ください。
補聴器の相場ってどれくらい? おトクな買い方から自分に合った補聴器選びまで徹底解説!
5 買い替え時に活用できる補助・控除制度
補聴器は高額なので、購入時にどのような助成制度や控除を利用できるかを知りたいですね。実は、一定の条件を満たせば買い替え時にも助成を受けられる場合があります。
代表的な制度には、以下のようなものがあります。
1.障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度
- 対象者:聴覚障害の認定を受けた方(身体障害者手帳の交付が必要)
- 支給内容:補聴器の購入費用の一部または全額補助(自治体による)
- 手続き:自治体の福祉課で申請し、必要書類を提出
2.自治体独自の補助制度
- 自治体ごとの独自の制度です。市区町村によっては、高齢者向けや軽度・中等度難聴者向けの補助制度を設けている場合があります。
- 対象や内容は、自治体によって大きく違います。ご自身が所属している市区町村の福祉窓口やホームページで確認してください。
3.医療費控除
- 対象者:年間の医療費(補聴器の購入費を含む)が一定額を超えた方
- 控除内容:確定申告を行うことで、所得税の一部が軽減される
- 手続き:確定申告時に、補聴器の領収書を含めた医療費の明細を提出
助成制度について、こちらで詳しく解説していますので、ぜひご確認ください。
よくわかる補聴器購入費の医療費控除。条件や手続方法、注意点まで
6 よくある質問
補聴器の使用は平均5年だと言われているが、もっと長く使ってもいい?
「5年」というのはあくまでも目安です。日常的に丁寧に取り扱い、こまめにお手入れや定期的なメンテナンスを行えば、5年以上使えることもあります。
ただし、以前より聞こえにくくなったと感じたら、すぐに専門家に相談しましょう。
買い替えと修理、どちらがよい?
一概には言えません。
補聴器の使用年数、故障の原因、修理保証の条件によって、修理をした方が良い場合も、買い替えたほうが良い場合もあります。
まずは補聴器の状態を補聴器販売店に見てもらい、意見を聞いてみてください。その時に、補聴器に付帯している修理保証も確認してみてください。
例:WIDEX補聴器の修理プログラム
例:Signia補聴器の修理プログラム
聴力に合わせて調整できる補聴器なのに、買い替えが必要なのはどうして?
デジタル補聴器は幅広い聴力に対応しますが、限界があります。
補聴器には「適応聴力」が設定されており、聴力の変化によっては、現在の補聴器では十分に補えないこともあります。
また、新しい補聴器には、より便利な新機能が搭載されています。その機能があった方が聞こえ方が改善するのならば、買い替えを検討するのも一つの選択肢です。
いずれにしても、一人で判断せず、まずはプロに相談し、自分に最も合うものを選びましょう!
まとめ
電化製品と同じく、補聴器にも平均的な寿命があります。一般的には「5年」が目安とされていますが、それはあくまで目安です。買い替えのタイミングは、次の3つのポイントを参考にするといいでしょう。
2. 日常生活に合わなくなった時
3. 修理が必要になった時、修理費用が高額になった時
補聴器の買い替え時には、いくつかの助成制度や控除を利用できる場合もあります。購入前に確認しておくことをお勧めします。
買い替えを検討する際は、必ず専門家に相談し、自分に最適な補聴器を選びましょう。自分の生活に合った補聴器を選ぶことで、より快適な聞こえを実現できます。