風邪をひいたら耳が詰まった感じがして聞こえにくい。でも直ぐには病院にも行けないし、少し様子見…そんな状況の方に読んでいただきたいブログです。
私もつい最近、鼻風邪から耳が聞こえにくくなってしまい焦りました。このまま悪化したらどうしよう? 風邪ではない別の原因かも?と、不安になりますよね。
でも、風邪で耳が聞こえにくくなるメカニズムと対処方法を知れば、適切な対策がとれるはず。一緒に耳の健康を守りましょう!
目次
1 風邪で耳が聞こえにくくなる5つの原因
風邪の初期症状だと思う体の違和感や変化として、一番多い「のどの痛みや違和感」に次ぎ、「鼻水・鼻づまり」の症状は59.4%でみられるというデータも。
耳は鼻と密接に関係しますので、異常を感じやすくなると言えます。
出典:風邪に関する調査-NRCレポート 日本リサーチセンター
原因1. 鼻のつまりや鼻炎
風邪による鼻の炎症によって耳が聞こえにくくなるのは、耳管が塞がれて中耳に空気が送られなくなり、内圧が低下するためです。
中耳は耳の奥にある部分です。ここと鼻や喉とをつなぐのが、耳管です。耳管は、中耳の中の圧力を常にコントロールしています。
耳管がふさがれると、中耳の内圧が低下することがあります。そうすると、鼓膜が中耳の方に引っ張られてしまいます。耳管狭窄症と呼ばれるこの症状により、音がこもって聞こえたり耳が詰まったような感覚を覚えたりすることがあります。
出典:風邪の季節は耳に注意 詰まったら耳管狭窄症の恐れも 日本経済新聞(NIKKEI STYLE)
原因2. 中耳炎
風邪をきっかけに中耳の中に炎症を起こすことで、耳が聞こえにくくなることもあります。中耳炎には、代表的な急性中耳炎のほか、主に次のような種類があります。
急性中耳炎
風邪をひいて鼻水が多い時など、ウイルスや細菌が耳管を通って中耳に入り込むことで起こりやすくなります。
ウイルスや細菌によって鼓膜の奥で膿が溜まるため、耳の痛みや発熱のほか、聞こえにくい、耳がふさがった感じなどの症状が現れることがあります。
滲出性中耳炎
鼻や喉の粘膜が腫れる、鼻水がたまるなど、何らかの理由で耳管の通りが悪くなり、中耳に滲出液が溜まることで起こりやすくなります。
それにより鼓膜の振動に支障をきたし、聞こえにくくなります。痛みを伴わないことが多く、発症に気づきにくいという特長があります。
慢性中耳炎
急性中耳炎や滲出性中耳炎を繰り返し、中耳内の炎症が慢性化してしまった状態です。
鼓膜に穴が空いたままになったり、耳管の機能が低下している状態で、手術が必要になることもあります。
原因3. 内耳炎
中耳のさらに奥にあるのが、内耳です。中耳炎の症状が広がり悪化することで、内耳の中の炎症、内耳炎を発症することがあります。
耳の最も内側にある内耳には、蝸牛(かぎゅう)という音を感じるセンサーと、三半規管という体のバランスをとるセンサーが備わっています。内耳炎によりこの2つのセンサーが正常に働かなくなり、耳が聞こえにくくなったり耳鳴りなどの聴覚症状が現れたりします。
原因4. おたふくかぜ(ムンプス)感染
難聴を起こす可能性のあるウイルスにはさまざまな種類がありますが、風邪に似た症状として、おたふくかぜ(ムンプスウイルス)が挙げられます。
体内に侵入したムンプスウイルスによって内耳の細胞がダメージを受け、主に片側の聴力が低下するムンプス難聴と呼ばれる聴覚症状を引き起こすことがあります。
出典:Hear well, Enjoy life – 一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会
原因5. 全身的な風邪症状による影響
風邪による疲労の蓄積、咳や高熱で睡眠が思うように取れない、といったストレスによっても聴覚に影響をきたすことがあります。
疲労やストレスにより内耳への血流が悪くなり、感覚細胞の機能が低下したり、感覚細胞の周囲を満たしている液体(内リンパ)の圧力が変化するために、耳が聞こえにくくなったり耳鳴りを発症すると考えられています。
出典:耳鳴りについて – 過労やストレスから起こる軽度の難聴 一般社団法人千代田区医師会
2 風邪で耳が聞こえにくくなった時の5つの改善方法
鼻の詰まりや炎症が原因で耳が聞こえにくくなっている場合は、以下の方法で改善が見られるかもしれません。
改善方法1. 鼻の通りを良くして悪化を防ぐ
鼻を温める
蒸しタオルなどで鼻を温めてみましょう。温めることで血行が良くなり、一時的に鼻の通りがスムーズになります。
鼻うがいをする
生理食塩水か洗浄液で鼻の中の膿やアレルゲンを洗い流すことで、鼻の通りを良くする効果があります。鼻うがいキットはドラッグストアや薬局で購入することが可能ですので、使用上の注意に従って正しくご利用ください。
室内を加湿する
湿度が高く保つことで鼻の粘膜が乾燥するのを防ぎ、結果として鼻汁の過剰な分泌を抑制する効果が期待できます。
ツボ押し
手や足には、体の各部位と繋がる末梢神経が集まっているため、刺激することで体の調子を整えることができるそうです。
- わきの下のツボ
テニスボール柔らかいボールなどで、詰まっている鼻と反対側のわきの下を圧迫します。 - 手のツボ
親指と人差し指で作るVの中央部分の「合谷(ごうこく)」と呼ばれる場所をマッサージします。 - 鼻のツボ
睛明(せいめい)という鼻の付け根付近の両側と、迎香(げいこう)という小鼻の膨らみ部分の両側のツボを押します。一時的ではありますが、どちらも鼻詰まりを軽減するのに役立つと言われています。
ストレッチ
ストレッチにより血流の改善が期待できます。首や肩のストレッチは、腕をつなぐ筋膜を伸ばし交感神経を刺激するため、鼻詰まりの改善につながるそうです。
改善方法2. 耳管に空気を通す(耳抜き)
口を閉じて鼻をつまみ軽く鼻から息を吐く
ストレッチにより血流の改善が期待できます。首や肩のストレッチは、腕をつなぐ筋膜を伸ばし交感神経を刺激するため、鼻詰まりの改善につながるそうです。
顎を左右に動かす
あくびの動作や顎を左右に動かすことで耳の下にある骨が動き、耳管を開かせることもできます。
唾を飲み込んだり飴をなめたりする
鼻をつまんだ状態で唾を飲み込むことで鼻腔内の圧力が上がり、耳管を開かせることができます。飛行機内で飴が用意されていることがありますが、機内の圧力差による耳詰まりを解消するためのものなのです。
改善方法3. 鼻や喉の炎症を鎮める
鼻や喉に効く市販薬を試し早く炎症を鎮めることで、塞がってしまった耳管の改善が期待できます。
改善方法4. 休息を取り心身回復に努める
耳の聞こえにくさの原因が風邪症状による疲労やストレスである場合は、それらを早く取り除くことで聴覚症状を改善できるかもしれません。改善の兆しが見られない場合は自己判断を避け、速やかに医師に相談しましょう。
改善方法5. 専門医を受診する
もし聞こえづらい症状と一緒に、耳や鼻の奥に痛みを伴う、中耳炎やウイルス性難聴が疑われる、というような場合は、速やかに専門医を受診しましょう。
場合によっては風邪が原因ではなく、突発性難聴など原因の特定が難しい症状の可能性もあります。早期に治療を開始すれば治療成果は良い傾向があると言われていますので、自己判断せず、専門医の判断を仰ぎましょう。
出典:耳が聞こえにくい – わかりやすい中耳炎ナビ こにし耳鼻咽喉科
3 風邪で耳が聞こえにくい時の重要な注意点
- 耳抜きや鼻うがいは、自己流で無理に行うと、耳管や鼓膜、鼻粘膜などに負担をかける恐れがあるため、慎重に行うこと。
- 市販薬による治療や自己判断でのケアで改善しない場合は、速やかに医師に相談すること。
- これらの方法を試しつつ、症状が長引く場合や悪化する場合には、速やかに専門医に相談すること。