最近、お父さんに話しかけても返事が返ってこない。
お母さんと話している時に、何度も聞き返してくる。
そう気づくことは少し切ないことですが、生活は毎日続きますから、とても切実なことですね。
気づいたら、なるべく早く行動しましょう。
家族みんなで、難聴のことを考えてみませんか?
目次
1 聴力の低下は自然なこと
あなたの大切な人に、こんな症状はありませんか?
会話を継続するのが難しい、声が大きい、テレビの音が大きい、などがあったら、その人は聴力が低下しているかもしれません。つまり、難聴です。
難聴は、歳を重ねるにつれて誰にでも起こりうるものです。歳を取ったら皮膚にシワが入ったり、髪の毛の色が変わってきたりするのと同様に、ごくごく自然なことです。恥じることでも、隠すことでもありません。
2 本人は気づかないことも多い
難聴は、一気にすべての音が聞こえなくなるわけではありません。幅広い音の種類のうち「高くて小さい音」からだんだん聞こえなくなっていくのです。
普通に会話もできますし、周囲の音も聞こえています。ですが、そのうちの一部の音が聞こえない、もしくは間違って聞こえている状態なのです。また、こちらが頑張って大きな声で話してあげると、聞き取ることができます。
ですから、こちらとしては「聞こえていない」と思うのに、本人は「聞こえている」という、というすれ違いが起こります。
この状態は、本人にも周囲の人にとってもストレスな状態です。
3 早めに対処を
そんなストレス状態を長期化させると、関係がぎくしゃくしてしまいます。本人になるべく早い対処を促しましょう。
ですが、これが一番難しいと思います!本人に「自分はまだ聞こえているから大丈夫だ!」と言われてしまうと、なかなかそれ以上言うことができないですよね。けんかになってしまうこともあるでしょう。
本人は気づいていることも
本人が「まだ聞こえている」と言ったとしても、実はちゃんと聞こえの変化に気づいていることもあります。ただ、そのことを受け入れるのに時間がかかっているのかもしれません。
もし本人が「難聴になる」ことが「老いの象徴」だと考えているのなら、それは受け入れがたい事でしょう。本人の心が整わないうちに周囲からプレッシャーをかけすぎると、本人がよりかたくなになってしまうかもしれません。
まずは知ることから
まずは本人に、自信の聞こえの状態がどうなっているのかを客観的に認識してもらうのが大切です。健康診断で聴力検査を受ける、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けるなどが一番正確でしょう。
身近に補聴器を使っている人がいたら、話を聞いてみるのもひとつの手です。
本人の気持ちが大切
例えば周囲が無理に補聴器を勧めたとしても、本人にその意思が無ければ、なかなか使いこなすことができません。まずは本人に、難聴の対処の意思を持ってもらうことが大切です。
そのきっかけは人それぞれ。お孫さんとの話がうまくいかないことに気づいたから、職場から補聴器を使うよう指示されたから、友人が使い始めたから。何がきっかけになるか分かりません。
大切なのは、周囲の人が「あなたを大切に思っているのだ」「いつでもサポートする」という姿勢を見せておくことです。
4 補聴器をつけるのは自然なこと
「補聴器を使う」ということを「年老いたことの象徴」と考えてしまうと、確かに使いたくなくなってしまいますよね。
このように考えてみてはどうでしょうか。
目にはメガネを、耳には補聴器を
目が悪くなったら、毎日の生活が不便ですよ。だから、メガネやコンタクトレンズを使うと思います。
補聴器も同じです。耳が悪くなったら、毎日の生活が不便だから、補聴器を使う。メガネと同じような物なのです。
補聴器は、新しいデジタルデバイス
これまで様々なデジタルデバイスを使ってきたのではないでしょうか。ポケベル、携帯電話、パソコン、スマートフォン、ワイヤレスイヤフォン、他にも新しい機械は次々と発売され、生活の中にするりと入りこんできました。
補聴器も同じです。生活の中に入り込むデジタルデバイスのひとつなのです。
上の写真、見た目は音楽を聞くためのワイヤレスイヤフォンのようですが、れっきとした補聴器です。
イヤフォンと同じように直感的に使え、ケースで持ち運ぶことができます。これまでに取り入れてきた新しい機械と同じように、簡単に使いこなすことができるでしょう。
5 最近の補聴器は、こんなにおしゃれ
補聴器というと、あの、肌色で、大きく耳からはみ出て、目立つ、不格好なもの。もしそういうイメージを持っているのなら、それは数十年前のイメージかもしれません!
最近の補聴器は、とても小さくて、つけていてもほとんど目立ちません。あえて「自分は補聴器をつけているよ」と言わないと、誰にも気づかれないでしょう。また、とてもおしゃれなものも多く、かえって人に自慢したくなるようなものも多くあります。
一昔前から性能は格段に進化しました。この小さなボディの中に極小のチップが搭載され、周囲の音を瞬時にデジタル処理して届けます。また、聞こえやすいように様々な機能が開発され続けています。
最新の補聴器について、ぜひこちらで確認してみてください。
6 まずはお試しを
散歩や買い物がてら、本人と一緒に補聴器に触れる機会を作ってみてはいかがでしょうか。
補聴器のお店をのぞいてみるのが良いでしょう。補聴器専門店やメガネ屋、百貨店の補聴器売り場など、補聴器のお店は意外と多くあります。
いきなりお店に入る必要はありません。お店の外から見えるように補聴器が飾ってあったら、まずはそれを見てみてください。きっと「こんなに小さいの?」「思っていた補聴器と全然違う」と思うでしょう。
機会があれば、お店に入ってみてください。話を聞いてみるだけでもいいと思います。耳につけてみたり、実際に音を聞いてみたりできるとなお良いですね。
つけて、聞いてみると、意外と補聴器は気軽なものだとわかるかもしれません。
お店によっては、そのまま数日補聴器を貸し出してくれる場合もあります。
いずれにせよ、本人にプレッシャーがかからないよう、少しずつ進めていくことが大切です。
人によって、難聴を受け入れるのにかかる時間はそれぞれ。次のステップに進むきっかけもまたそれぞれです。
何よりも考えなければいけないのは、何が本人のためになるかということです。本人が楽しい気持ちで次のステップに移れるよう、本人の気持ちに寄り添いながら、様々な手段を使いながら、話をし続けてください。