皆さんは普段レンタルを利用することはあるでしょうか?レンタカーや冠婚葬祭時の貸衣装などを思い浮かべるかもしれません。最近では、子供の運動会の時だけビデオカメラをレンタルしたり、オンライン会議用の会議室をレンタルしたり、と色々なサービスが利用できます。
実は補聴器にもレンタルサービスがあり、現在では全国で手軽に利用できる環境が整っています。
では、補聴器のレンタルとはどのようなサービスなのでしょうか?どこでどのような補聴器をレンタルすることができるのでしょうか?ここでは、補聴器のレンタルについて押さえておきたい3つのメリットと費用相場・活用方法についてご紹介します。
今補聴器の使用を迷っている方や、ご家族に補聴器を勧めたい方は是非ご覧ください。
目次
1 補聴器レンタルについて
そもそも「補聴器のレンタル」とは
補聴器のレンタルは、購入前に補聴器を一定期間レンタルしてみることで、自分の聞こえ方や生活スタイルに合っているかどうかを確認できるサービスです。補聴器には高額なものもあり、利用者ごとに適した器種が異なるため、レンタルで実際の使用感を感じることができるポイントが特徴です。
2 補聴器レンタルの3つのメリット
補聴器には様々な種類や形状があり、その人の聞こえ方によっては効果も違いがでてきます。そのため、最近では一定期間レンタルし、効果に納得した上で購入を検討することが一般的になっています。
補聴器をレンタルすることのメリットについて3つご紹介します。
- 補聴器の使い勝手を試すことができる。
- クラス・価格の差を体験することができる。
- 人との会話が改善されるのか試すことができる。
補聴器の使い勝手を試すことができる
補聴器の種類は多種多様です。補聴器メーカーのカタログを見ると、形状(形、大きさ)、使用電池、シリーズなどで別けられており、器種も様々な種類があります。
シグニア補聴器のカタログより
補聴器について、レンタル中に試したい項目は、次のように様々あります。購入を検討している補聴器がイメージと合致しているのかは非常に重要です。購入後にしっかりと確認して、「こんなはずではなかった」とならないようにしたいものです。そのため、レンタルで使い勝手を試すことは大きなメリットになります。
レンタル中に試したい項目
形状
- 装用した時の見た目が、自分のニーズに合っているか
- 取扱いしやすい大きさか
- つけ外しが容易か
使用電池
- 電池式の場合は電池交換が容易か
- 電池寿命は自身の生活スタイルのうえで十分か
シリーズ
- 自身の聞こえの悩みを解決できる機能が搭載されているか
- 予算と機能のバランスが取れているか
適応聴力
- 補聴器が自身の難聴度をカバーできる出力(パワー)を持っているか
クラス・価格の差を体感することができる
補聴器の価格は1台約5万円~50万円と大きく差があります。一般的には搭載している機能が多いほど、値段が高くなります。どのクラスの価格帯にするのかは、補聴器販売店で「予算」と「解決したいきこえの悩み」を相談して決めていきます。
選んだクラスの補聴器が、実際の生活環境で試してみて自身で納得ができるのか、その上下のクラスで違いが出るのかも、レンタルすることで体感できます。
シグニア補聴器のカタログからの抜粋、クラスが上がると対応できるシーンが増えることがわかる。
ワイデックス補聴器のカタログから抜粋、クラスにより搭載される機能が違うことがわかる。
人との会話が改善されるのか試すことができる
ほとんどの人は、補聴器を使用する最大の目的は「人との会話」ができるようになること、コミュニケーションをより良くすることだと思います。ですので、補聴器販売店の店頭だけではなく、実際の生活の中で、家族との会話や職場の同僚、友達との会話が改善されるのか、効果があるのかを実際に確認することが大切です。
言葉を理解する力は人それぞれですので、補聴器を使うとどう変わるのか、レンタル中に必ず確認しておくことをお勧めします。
3 補聴器販売店の「補聴器レンタル料金」と「期間」
補聴器のレンタル料金や期間は、補聴器販売店によって変わってきます。ここでは「地域密着の販売店」「メガネチェーン店」「補聴器専門店」に分けてご紹介します。
ここでご紹介するのはあくまで一般的なもので、販売店によってサービス内容が違いますのでご注意ください。
販売形態 | レンタル料金 | 期間 | 注意点 |
---|---|---|---|
地域密着の販売店 | 無料であることが多い | 1週間~1カ月 | 修理や紛失の金額について事前に確認が必要 |
メガネチェーン店 | 3000円~ | 2週間~1カ月 | レンタル可能なメーカーや器種に限りがある |
補聴器専門店 | 無料 or 3000円~ | 2週間~3カ月 | レンタル中音質調整のために定期的に訪問する必要がある |
地域密着の販売店 無料~
皆さんの町にある個人経営の眼鏡店や時計店、宝飾品店などは、その特性上補聴器のレンタルは無償であることが多いです。
期間は1週間~1か月ほどです。お客様も顔見知りのことが多いので信用でレンタルをしていることが多いようです。
メガネチェーン店 3000円~
現在ほとんどのメガネチェーン店では補聴器を扱っており、それぞれのレンタルサービスを行っています。
費用は3000円~、期間は一般的に2週間~1カ月程度で、器種もある程度選ぶことができます。サービスとして確立されているので、レンタル中の修理や紛失した時の過失代金も決まっています。サービスの内容を事前に確認することで安心して利用することができます。
補聴器専門店と比較すると、メーカーや器種に限りがあることが多いです。身分証の提示が必要であるケースもあります。
補聴器専門店 無料 or 3000円~
期間としては一番長くレンタルすることができます。補聴器に慣れ、効果を実感できるまで長期で試させもらえることが多いです。
費用は、無償の場合や、月3000円程度が多いようです。補聴器の試聴器も豊富に揃えていますのでじっくり自分に合うものを選ぶことが可能です。
週1回は訪問し、音質の調整をするケースが多く、レンタル期間中は店舗訪問の時間を割く必要があります。身分証の提示が必要であるケースもあります。
4 補聴器をレンタルする流れ
まずは、ウェブサイトや電話で事前にレンタルサービスがあるのか確認をしておきましょう。そして事前にお店に予約をすることをお勧めします。
1時間~1.5時間かかることがありますので、時間に余裕をもってお店に行きましょう。
- 店頭でのカウンセリング
補聴器販売店で聞こえ方の悩みや、補聴器で解決したいことなどをカウンセリングします。 - 聴力測定
防音室に入り、聴力を測定します。様々な音の高さ(周波数)別にどれくらいの音の大きさで聞こえるのか測っていきます。 - 器種選定
カウンセリングと聴力測定の結果を基に、販売店のスタッフがおすすめの器種を選んでくれます。
希望の器種がお店にない場合は、メーカーから取り寄せるために数日かかることがあります。 - 音質設定
聴力測定の結果を基に、レンタル用補聴器の音質設定をします。 - レンタル開始
使いかたを教えてもらい、補聴器使用に必要な備品を貸してもらったら、レンタル期間がスタートです。
レンタル期間や料金、万一故障したり紛失した際のことは、事前に確認しておきましょう。 - レンタル中の音質調整
補聴器は慣れるまでは音量を抑え気味で使います。徐々に音量を上げていくため、補聴器販売店によっては、音質調整のためレンタル中に数回販売店に通います。 - 購入または返却
レンタル期間終了後、レンタル用補聴器をお店に返却します。その補聴器に満足が出来れば、購入することもできます。(レンタル用補聴器とは別の補聴器を購入する場合が多い)
5 レンタル活用方法 自分に合った補聴器を見つけるコツ
レンタル期間中の限られた時間の中で、自分に合った補聴器を見つけるコツを紹介します。
自宅や職場、趣味の場など様々な場所で試す
補聴器を購入後に使うと思われる様々な場所で実際に使ってみて、効果が感じられるか確かめてみましょう。ただし、騒音が多い駅や町の雑踏、多くの人の声が聞こえる居酒屋などは避けたほうが良いでしょう。これらの場所で上手く聞くには、まず補聴器に慣れる必要があります。
「こんな場所だと良く聞こえた」など、まずは改善された点に目を向けるようにしましょう。
気が付いた点や不安な点は販売店に相談をする
レンタル期間中に気が付いた点や不安に思ったことは、販売店のスタッフに相談しましょう。また音量が大きすぎて使えなかったり、特定の音が極端に響いたり、装用していると頭が痛くなったりする場合は、なるべく早く販売店で相談し、音質の調整を受けてください。
使いこなせるか、生活スタイルに合うのかを試す
補聴器を自分で付け外しできるか、電池の交換ができるか、装用感は違和感がないか、などをしっかり確認しましょう。
また自分の生活スタイルが、レンタルしている補聴器にマッチするのかも検討しましょう。耳かけ型を試している場合は、衣服の着脱やマスクの着脱で外れてしまうことがないか。耳あな型を試している場合は、長く装用していても違和感がないか、密閉感が強く感じないか、などを確認します。
2つ以上のメーカーの製品を試す
補聴器はメーカーにより音の特徴が異なります。そのため、2つ以上のメーカーの補聴器を試すとより高い納得感が得られます。この点は補聴器販売店によっては対応が分かれますので、事前に相談しておくことをおすすめします。
補聴器販売店スタッフの対応に納得ができるか
補聴器のレンタルというと製品のことばかりに目が行きがちですが、お店やスタッフの対応に納得できるかもレンタル期間中に確認しましょう。
補聴器は購入後も、数カ月かけてその人に合うように音質調整をします。補聴器販売店のスタッフとは、購入後も長いお付き合いになります。レンタル前のカウンセリングや聴力測定は丁寧にであったか、説明はわかりやすかったか、質問に答えてくれたのか。音質調整は納得いくものであったのか。こういった点も含めてレンタル中に確認をしましょう。
もし納得がいかなかった場合は、他の販売店で再度レンタルすることも検討しましょう。
6 レンタル補聴器を紛失した場合どうなる?
購入前に試すことができるレンタルは是非活用したいサービスですが、万一補聴器を紛失してしまった場合どうなるのでしょうか?
これは、販売店により対応が違いますので注意が必要です。必ずレンタル前に確認をしましょう。
大手のメガネチェーンや補聴器専門店では、事前に説明があるかもしれません。説明がない場合は、説明を求めましょう。また、規約として紛失代金が決まっていない場合は、販売店と事前に金額を決めておくことをお勧めします。販売店が決められない場合は、後でトラブルにならないように、規約として紛失代金が決まっている販売店でレンタルすることをお勧めします。
7 レンタルについてのQ&A
最新の器種はレンタルできる?
多くの補聴器販売店では、最新補聴器のレンタル用試聴器があります。ですが、全メーカーの全器種が揃っているかはわかりません。レンタルしたいメーカーや器種が決まっている場合は、事前に販売店に電話で確認することをお勧めします。
耳あな型補聴器はレンタルできる?
耳あな型のほとんどが「オーダーメイド」であるため、基本的にレンタルはできません。ですが、最近では「既成」耳あな型補聴器という、最初から形が決まっている耳あな型が登場しており、こちらはレンタルが可能です。
Signia Active IX
低価格の補聴器はレンタルできませんか?
通販で販売しているような補聴器や集音器は補、聴器販売店ではレンタルができないことが多いです。下記のオンラインレンタルサービスであれば、器種は限られますがレンタルして試すことが可能です。
長期でのレンタルはできませんか?
最近では、補聴器を所有せず長期間レンタルし続けられるサービス(サブスクリプションサービス)も登場しています。まだ数は少ないですが、「初期投資が少ない」、「合わない場合は使用を止めることができる」、「最新器種を使うことができる」などのメリットがあり、徐々に浸透してきています。
下記は、補聴器メーカーワイデックスが運営している月額定額プランです。
8 レンタルできる補聴器販売店を探す
それでは実際に補聴器をレンタルしたいときはどこに相談すればよいでしょうか?
きこえナビの販売店検索では、お住まいの近くで試聴レンタル実施している販売店を探すことができます。「試聴レンタル実施」のマークが付いている販売店にご相談ください。
下記のリンクから販売店検索ができます。