最近ではイヤホンを付けて歩く姿が多く見られるようになりました。イヤホンもワイヤレス(無線)製品が登場し、スマートフォンと連動して多機能化することで、広く浸透してきました。
実は近年、補聴器にも「イヤホン型補聴器」や「イヤフォン型補聴器」と呼ばれる、ワイヤレスイヤホン形状のものが登場しています。補聴器メーカーのみならず、大手家電メーカー、イヤホンメーカーなどが製品を発売しており、種類も多様になってきました。
イヤホン型補聴器は、世代を問わず使用することができますが、特にまだ現役でお仕事をされている60代位の方に支持されているようです。
イヤホン型補聴器は、初めて補聴器を考えている方や、補聴器装用を悩んでいる方に是非検討していただきたい製品です。ここでは、初めての方におすすめする理由と、イヤホン型補聴器のメリットをそれぞれ3つご紹介します。
1 イヤホン型補聴器とは
そもそもイヤホン型補聴器とは
イヤホン型補聴器とは、その名の通りイヤホン同様の形状をしている製品のことを指します。従来耳に入れるタイプの補聴器は、「耳あな型補聴器」と呼ばれ、使用者の耳あなの形状に合わせたオーダーメイドタイプが主流でした。
ここに近年、音楽イヤホンの様に耳せん着けることで、多くの人が使用できるイヤホン型補聴器が登場しました。
デザイン性が高い評価を得ている
イヤホン型補聴器の最大の特徴がデザイン性にあり、見た目がワイヤレスイヤホンのようで、補聴器には見えません。そのデザイン性は、今までの補聴器のイメージを覆すものであることがユーザー評価でもわかっています。
イヤホン型補聴器を試用した方にアンケートを取ったところ、そのデザインについて「非常に良い」「良い」と答えた方は61%、「やや良い」と答えた方を合わせると74%となり、デザインの評価が非常に高いことが分かります。また、試用した方の42%は半年以内に購入を検討すると答えていて、デザインが補聴器使用を前向きにさせる要因になっていると捉えられます。
*シバントス社「シグニア補聴器お試しレンタルデリバリーサービス」ユーザーアンケート調べ N数235
Signia Active Pro/Signia Activeのデザインに対するアンケート
価格帯も幅広い
現在の市場価格*によると、イヤホン型補聴器は両耳セットで8万円代~90万円代と幅があります。オンライン通販などで購入するものと、補聴器販売店で対面購入するものとで大きく価格差があります。また、搭載されている機能の数や種類によっても、価格が変わってきます。
*2024年11月現在
2 初めて補聴器を装用する人におすすめする3つの理由
初めての補聴器に悩んでいる方に、是非検討していただきたいのがイヤホン型補聴器です。その理由を3つご紹介します。
初めての方にイヤホン型補聴器をおすすめする理由
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従来の肌色の補聴器ではない
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補聴器の機能だけではない、最先端のデジタル端末である
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いつまでも前向きに、趣味に仕事に生活を楽しめる
理由1:従来の肌色の補聴器ではない
補聴器の色というと肌色(ベージュ)を思い出す方が多いのではないでしょうか?肌色は目立たないという特徴がある一方、旧来からの補聴器イメージを想起させるため、若い方や初めての方はネガティブなイメージを持つかもしれません。
イヤホン型補聴器はシンプルで洗練されたデザイン。ワイヤレスイヤホンのような見た目とカラーバリエーションで、一見して補聴器とはわかりません。そのため、補聴器を使おうかな、と思う気持ちを前向きにしてくれます。
理由2:補聴器の機能だけではない、最先端のデジタル端末である
イヤホン型補聴器は従来の補聴機能だけではなく、スマートフォンと連動し、音楽を聞いたり、通話をしたりすることができます。つまり、補聴機能以外にも、一般的なワイヤレスイヤホンが持つ機能を兼ね備えているのです。
少し言い過ぎかもしれませんが、「補聴器を使っている」ではなく、「(補聴機能も付いた)最先端のデジタルデバイスを駆使している」と捉えることもできます。
理由3:いつまでも前向きに、趣味に仕事に生活を楽しめる
はじめて装用される方は、補聴器にネガティブな印象を持たれるかもしれません。ですが、「イヤホン型」補聴器であれば、装用していても周囲から「補聴器をつけている」と思われにくいので、周りの目も気にならないでしょう。
聞こえづらくなると、単に音が聞こえないだけではなく、会話が億劫になりがちになり、周囲とのコミュニケーションが減ってしまいかねません。イヤホン型補聴器であれば、前向きな気持ちで趣味に仕事に生活を楽しむことができます。
3. イヤホン型補聴器の3つのメリット
それでは、従来の補聴器と比較してイヤホン型補聴器のメリットとはなんでしょうか?3つご紹介します。
イヤホン型補聴器のメリット
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シンプルで洗練されたデザイン
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スマートフォンとの連動
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高品質な音質と機能
メリット1:シンプルで洗練されたデザイン
ワイヤレスイヤホンのような見た目
イヤホン型補聴器の最大の特徴は、その見た目です。ワイヤレスイヤホン同様の形状で、補聴器と思われないデザインです。しかも多くのワイヤレスイヤホンよりもコンパクトなので、耳の外に出っ張らず、見た目の違和感も少ないでしょう。
Vibe Go(ヴィーブ ゴー)はイヤホンのような見た目の新しいカタチの補聴器。一般的なワイヤレスイヤホンは4g~6gだが、Vibe Goは本体重量2.7gと軽量。
ファッション性
「補聴器は肌色」のイメージを覆したイヤホン型補聴器。例えばシバントス社のSignia Active IXは、カラーバリエーションが3色あります(スノーホワイト、ブラック、ローズゴールド)。落ち着いていながら高級感があり、補聴器のカラーにファッションを合わせても良いかもしれません。
装用感
多くのイヤホン型補聴器の耳せんは、ワイヤレスイヤホン用の様に円形ではなく、楕円形など耳の形状にフィットするよう設計されています。これは、長年耳の形状を見てきた補聴器メーカーならではの特徴です。
また、耳せんの素材は柔らかく、適度な通気性があり、こもりにくいのも特徴。種類が豊富でどんな耳でもフィットしやすくなっています。
*メーカーにより形状は異なります。当初製品についているものは限られます。
充電式
イヤホン型補聴器は、ワイヤレスイヤホン同様に充電式であることがほとんどです。そのため、電池の交換などは不要です。多くのワイヤレスイヤホン同様に、補聴器をケースに入れれば自動的に充電され、ケースをUSBケーブルを差したりしたり充電パッドに置いたりして充電します。
補聴器は難聴者にとってなくてはならないものです。もし充電が切れてしまっても、急速充電で長時間駆動する製品もあります。
主なイヤホン型補聴器の充電比較
器種名 | Signia Active IX | Vibe Go | Jabra Enhanc |
---|---|---|---|
メーカー | シバントス株式会社 | WS Audiologyグループ | GNオーディオジャパン株式会社 |
本体電池持続時間 | 約34時間 | 約26時間 | 最長12時間 |
充電ケース電池持続時間 | 本体を3回フル充電可能 | 本体を3回フル充電可能 | 本体を2回フル充電可能 |
本体充電時間 | 約4時間 | 約4時間 | 最長3時間 |
充電ケース充電時間 | 約3時間 | 約3時間 | 最長3時間 |
急速充電 | 30分充電で約8時間使用可能 | 30分充電で約5時間使用可能 |
メリット2:スマートフォンとの連動
スマートフォンアプリ
イヤホン型補聴器の多くが、スマートフォンアプリで様々な機能を活用できます。スマートフォンと連動させることで、イヤホン型補聴器は最先端のデジタル端末になるのです。
スマートフォンアプリで活用できる機能例
- 音量&音質調節
- 補聴器の電池残量確認
- 指向性(音の集音する範囲)の調節
- モード(シーン)の切替え
- AIアシスタントが補聴器の調節をしてくれる
- 歩数や活動量の測定をしてくれる
ダイレクトストリーミングで音楽も楽しめる
ワイヤレスイヤホン同様に、スマートフォンから音楽を転送して聞くことができます。また、その人の聴力に合わせて音楽の音量を調節してくれます。これは補聴器ならではですね。
ハンズフリーで通話も可能
イヤホン型補聴器とスマートフォンをBluetooth接続することで、スマートフォンを触らずにハンズフリーで通話をすることが可能です。*
*スマートフォンのメーカーや機種により使用できないことがあります。
メリット3:高品質な音質と機能
イヤホン型補聴器は、その補聴器メーカーが製造する他の補聴器と同等の技術を搭載していることがほとんどです。イヤホン型補聴器であるからといって、搭載機能が劣っているということはありません。
4. イヤホン型補聴器おすすめ3選
Signia Active IX (シグニア アクティブ アイエックス)
https://www.signia.net/ja-jp/hearing-aids/integrated-xperience/active-ix/
シバントス株式会社
適応聴力:軽中等度難聴
価格:オープン価格
販売場所:補聴器販売店
充電式 電池持続時間:約34時間 本体充電時間:約4時間
ドイツシーメンスの流れを受け継ぎ、140年の補聴器開発の歴史を持つシバントス株式会社の製品です。同社のイヤホン型補聴器としては2代目で、ハイエンドモデルの”Signia Active Pro IX” とスターターモデルの”Signia Active IX”と2ラインナップあります。
特徴
Signia IXシリーズの最先端テクノロジーを搭載しており、スピーチロックオン*、ワードロックオンで騒がしい環境での複数人の会話もより聞き取りやすくなります。
*スピーチロックオンはSignia Active Pro IXのみ搭載
カラーバリエーション
スマートフォンとの連動でできること
- 音量&音質調節
- 補聴器の電池残量確認
- 指向性(音を集音する範囲)の調節
- モード(シーン)の切替え
- AIアシスタントが補聴器の調節をしてくれる
- 歩数や活動量の測定をしてくれる
- ダイレクトストリーミング
- ハンズフリー通話*
*スマートフォンのメーカーや機種により使用できないことがあります。
Vibe Go(ヴィーブ ゴー)
WS Audiology グループ
適応聴力:軽中等度難聴
価格:128,000円
販売場所:オンラインなど
Vibe補聴器公式オンラインストア https://www.vibe-hearing.jp/
充電式 電池持続時間:約26時間 本体充電時間:約4時間
Vibeシリーズは、スマートフォンでセルフヒヤリングチェック、セルフフィッティング(自分で音を調整できる)が可能な製品です。販売店に訪問することなく、補聴器としては手軽な価格で購入できる、新しいスタイルの製品と言えます。
特徴
Vibe Go(ヴィーブ ゴー)は、シリーズ初の充電式補聴器。オートスピーカーフォーカス搭載で360度話し手の声を自動で認識し、その方向の音に集中させることで聞き取りやすくします。
カラー
スマートフォンとの連動でできること
- セルフヒアリングチェック
- セルフフィッティング
- 音量&音質調節
- 指向性(音を集音する範囲)の調節
- 補聴器の電池残量確認
- オーディオストリーミング*
*利用できるスマートフォン器種に限りがあります。
Jabra Enhance
https://www.jabra.com/ja-jp/hearing/enhance
GNオーディオジャパン株式会社
適応聴力:軽度難聴
価格:89,000円*
販売場所:オンライン / 補聴器販売店など
充電式 電池持続時間:最長12時間 本体充電時間:最長3時間
*公式ウェブサイト掲載価格
Jabra(ジャブラ)は、デンマークのGNグループが展開するオーディオブランドです。GNグループは、医療やビジネス、コンシューマー分野でヒアリングやオーディオ、ビデオに関する製品開発を行っています。Jabra Enhanceもセルフフィッティング(自分で音を調整できる)が可能な補聴器です。
特徴
Jabra Enhanceは、4つの専用マイクを使用しており、周囲の雑音を低減し、会話の明瞭度を向上させます。にぎやかなカフェでの会話や食事中の友人との会話もクリアなサウンドを体験できます。
カラーバリエーション
ダークグレー、ゴールドベージュ
スマートフォンとの連動でできること
- 音量&音質調節
- 補聴器の電池残量確認
- リスニングモードの選択
- ダイレクトストリーミング
- ハンズフリー通話*
*スマートフォンのメーカーや機種により使用できないことがあります。
5. イヤホン型補聴器の注意点
ビジネスの際に誤解されないように
イヤホン型補聴器は、その見た目から補聴器に見えない点がメリットです。ですが、仕事中にイヤホンをしている、音楽を聞いていると誤解されることがあるかもしれません。ビジネスの場で使用する時は周りの方に説明をしておきましょう。
自転車運転時の注意点
2024年11月の自転車についての道路交通法の改正がありました。政府広報オンラインによると「イヤホンやヘッドフォンを使用するなどして安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態での運転」には、5万円以下の罰金が課されるとされています。
イヤホン型補聴器を装用している場合、誤って警察官に声をかけられる可能性があります。その際は落ち着いて、これはイヤホンではなく補聴器であり、自分が難聴で補聴器を着けて運転するほうが安全であることを伝えられるようにしましょう。
紛失について
イヤホン型補聴器に限りませんが、紛失には注意が必要です。本体を外したら、ポケットなどに入れずに、必ず充電器に収納するようにしましょう。器種によっては紛失保証が付いている製品もあります。購入する場合は事前に確認をしておきましょう。
6. まとめ
イヤホン型補聴器が気になりましたか?ぜひ補聴器を販売しているお店に問い合わせてみてください。お店に展示品があることがありますし、試聴用の補聴器を数日間貸し出してくれることもあります。
どの店でどのイヤホン型補聴器を扱っているかは分からないので、下記にある「販売店検索」からお店を選んで、お店に問い合わせをしてみてください。
初めての方にイヤホン型補聴器をおすすめする理由
- 従来の肌色の補聴器ではない
- 補聴器の機能だけではない、最先端のデジタル端末である
- いつまでも前向きに、趣味に仕事に生活を楽しめる
イヤホン型補聴器のメリット
- シンプルで洗練されたデザイン
- スマートフォンとの連動
- 高品質な音質と機能