CROS補聴システムの値段は?その相場と選び方ガイド【最新版】

クロス補聴器(システム)

CROS(クロス)補聴システムとは、片耳がほぼ聞こえていない人の聞こえの改善を図る補聴システムです。

CROSは「Contralateral Routing of Signal」の略で、日本語に直訳すると、「信号を反対側に伝達する」という意味。文字通り、一方の耳につけた送信機から反対側の耳につけた受信機に音を送ることです。

CROS補聴システムを使用するには、聞こえ方が悪い側(ほぼ聞こえていない)の耳につける「CROS送信器」と、良い側の耳につける受信機となる「補聴器」が必要となります。そのため、CROS補聴システムには、CROS送信器と補聴器の2台が必要となり、購入費用は補聴器単独よりも高くなります。もちろん、値段が上がる分、メリットもあります。

この記事では、CROS補聴システムの値段について、詳しく掘り下げて説明しています。また、できるだけ安く購入するための方法も紹介しています。
正しく理解して、自分の聞こえの状態に合った最適なCROS補聴システムを選んでください。

1 CROS補聴システムの値段の相場は?

CROS(クロス)補聴システムは、CROS送信器と、受信器となる補聴器をセットで使用することが前提となります。

CROS送信器の価格差はどれも同じような価格ですが、受信器となる補聴器の性能によって費用には大きな差が出てきます。
ざっくりいうと、CROS送信器と補聴器のセットで約15万円から60万円といったところです。

1-1 CROS送信器の値段は10万円程度

CROS補聴システムで必要になるCROS送信器は、見た目は補聴器とそっくりですが、中に搭載されている機能は大きく違います。

この機器が果たす役割は、「マイクで音を集めて、その音のデータを反対側の補聴器に送信する」ということです。補聴器のように音声信号を加工処理する機能は必要ありません。

そのため、値段はそれほど高額にはなりません。メーカーや器種による性能差や価格差も少なく、ほとんどのCROS送信器は10万円前後で購入することができます。

CROS送信器の役割

1-2 受信器=補聴器の値段には大きな差がある

一方で、受信器である補聴器の価格は、求められる性能や機能によって大きく変わります

補聴器には様々な機能が搭載されています。補聴器は単に「マイクが拾った音を、大きくして耳に届ける」わけではなく、雑音を省いたり、声を聞き取りやすいように調整したり、等々の複雑な処理を行っているのです。その人のライフスタイルや難聴度合いによって、どの機能が必要か、どのくらいの性能が必要かが変わってきます。

そして、補聴器の値段は、搭載されているこれらの機能の数や性能によって変わってくるのです。

詳しくはこちらの記事で確認してみてください。デジタル補聴器の値段の疑問を解決。価格差の理由やおすすめ価格帯は

良い側の耳の聴力が正常である場合は、高性能で多機能な補聴器を使用する必要はありません。このような聴力の場合は、5万円から15万円のエントリークラスの補聴器で充分だと言えます。

ただし、聞こえ方が良い側の耳にも難聴がある場合には、その難聴を改善できるような機能を搭載した補聴器を選ぶ必要があります。そうなると、15万円以上のミドルクラスやその上のクラスの補聴器がおすすめになってきます。

補聴器の値段は難聴の有無で変わる
CROS補聴システムの補聴器の価格

2 値段を左右する3つの要因

それでは、CROS(クロス)補聴システムの値段に差が出る原因について、もう少し詳しくみてみましょう。

2-1 すでに補聴器を使用しているかどうか

CROS補聴システムは、CROS送信器と、受信器となる補聴器をセットで使用することで機能します。

初めてCROS補聴システムを使用する場合には、CROS送信器と補聴器の両方を購入する必要があり、15万円から60万円程度の費用がかかります。

すでに補聴器を使用しているのであれば、新たに購入するのはCROS送信器だけですみ、10万円前後の出費ですみます。
ただし、既に使っている補聴器がCROS補聴システムに対応していない場合もあるので、その場合はCROS対応の補聴器も購入する必要があります。

2-2 良い側の耳に難聴があるかどうか

良い側の耳が正常であれば、その耳につける補聴器の役割は、CROS送信器から転送されてきた音を単純に再生するだけなので、高い性能や多くの機能は必要ありません。
機能がシンプルなものでいいので、補聴器の価格も安価ですみます。

ただし、良い側の耳にも難聴がある場合には、受信器となる補聴器にも聞こえの状態を改善するための機能が必要になってくるため、安価な補聴器では対応できない可能性が出てきます。

2-3 良い側の耳につける補聴器の性能や搭載機能

良い側の耳に難聴がある場合には、その難聴に対応するための機能を搭載した補聴器によるサポートが必要になります。

難聴の状態によって、補聴器に求められる機能も異なってきます。
一般的な補聴器の価格は5万円から50万円とかなり幅広いのですが、基本性能や搭載機能の違いによっておおまかに3つの価格帯=クラスに分けることができます。

良い側の耳の難聴の程度や状態によりますが、一般的には、15万円以上のミドルクラスやその上のクラスの補聴器がおすすめになってきます。

補聴器の性能・機能 [できること]

エントリー
5~15万円

ミドル
15~30万円

ハイエンド
30 ~50万円

会話の邪魔になる騒音を抑える
言葉を強調して会話をより聞き取りやすくする
使う人の聞こえの状態に合わせて細かく調整できる
周囲の環境の変化に合わせて自動で最適な音を届ける

補聴器を選ぶ時は、自分がどんな生活をしていて、どんな場面で聞こえにくさを感じているのか、そして、その状態を改善するためにはどんな機能が必要なのか、その機能を持った補聴器はどれなのか、という観点で選ぶようにしましょう。

ただ、自分だけでその判断をすることは非常に難しいものです。最適な補聴器を選ぶためには、補聴器の専門家のサポートは必要不可欠です。

↓こちらの記事も参考にしてください。

3 [メーカー別]CROS補聴システムの値段

代表的なメーカーのCROS(クロス)補聴システム(CROS送信器と対応補聴器)の値段をみてみましょう。

シグニア
シグニアのCROS補聴システム
シグニアのCROS補聴システム
ワイデックス
ワイデックスのCROS補聴システム
ワイデックスのCROS補聴システム

4 CROS補聴システムの値段を抑える方法

CROS(クロス)補聴システムでは、CROS送信器と補聴器をセットで使用するため、どうしても費用がかさみがちです。補聴器を2台購入するよりは安いのですが、それでもやはり値段は抑えたいものです

少しでも費用を抑えるための方法を紹介します。

4-1 補聴器購入に公的助成や補助金を利用する

CROS送信器は補聴器ではないため、購入に際して補助金等の公的助成の適用を受けることはできません
ただし、受信器となる補聴器を購入する時は、公的助成を受けることができる場合があります。

障害者総合支援法には、難聴の程度が身体障害者障害程度等級のいずれかに該当した場合には、各市区町村の福祉課へ申請手続きをすることで、補聴器などの補装具の費用が支給される制度があります。

また、国の制度以外にも各自治体が独自で行っている助成制度もありますが、内容は自治体によって異なるようです。
助成を受けるための条件や手続きのための書類の手配等があるので、いずれにしても、お住まいの市区町村の「福祉課窓口」に補聴器の公的助成について問い合わせることをおすすめします。

↓こちらの記事も参考にしてください。

4-2 できるだけ機能を絞った補聴器を選ぶ

CROS補聴システムにかかる費用のところも説明したように、購入費用の額を大きく左右するのは受信器となる補聴器の金額です。

良い側の耳の聴力が正常な場合、機能を絞った価格の安い補聴器でも効果が期待できます。

そちらの耳にも難聴がある場合には、ある程度の性能や機能を備えた補聴器を購入する必要がありますが、聞こえの状態の改善が期待できる最低限の機能を備えた補聴器を選ぶことで、少しでも価格を抑えることができるでしょう。

いずれにしても、耳鼻科(補聴器相談医)の診察を受けて両方の耳の聴力や聞こえの状態を正確に把握し、解決のためのアドバイスを受けるようにしてください。

4-3 補聴器のサブスクサービスを活用する

最近登場した新しい補聴器の利用方法が「サブスクリプション」です。

補聴器を一括で購入するのではなく、月々定額で補聴器を利用することができます
高額な高性能補聴器でも初期費用を低く抑えることができ、途中解約や器種変更が可能なのも大きなメリットです。特に良い方の耳に難聴があり聞こえの改善が必要な場合には、補聴器を検討する際にこのサブスクリプションサービスの活用を考えてみてはいかがでしょうか。

比較的安価なCROS送信器は購入し、費用が高額になる補聴器はサブスクを活用して月額定額で利用するいう方法も考えられます。

↓ 補聴器のサブスクリプションサービスの一例です

耳より定額プラン

5 値段重視でCROS補聴システムを選ぶ時に気をつけること

どうしても費用が高額になりがちなCROS(クロス補聴システム。できるだけ価格を抑えたいところですが、安さだけを重視してしまうと、本来の目的である「聞こえを改善する」ことが難しくなってしまう恐れがあります。

5-1 CROS送信器よりも受信器(補聴器)の価格がポイント

CROS(クロス)送信器の機能はシンプルなため、メーカー間や器種間で大きな差がありません。

また、ほとんどのCROS送信器の価格は10万円前後です。CROS補聴システムを検討する上で費用面でのポイントは受信器となる補聴器の値段です。

5-2 低価格の補聴器では効果を感じられないことも

受信器となる補聴器の値段が、CROS補聴システム全体の値段に大きく関わることは、ご説明したとおりです。

良い側の耳の聴力に問題が無い場合は、機能をシンプルにして価格を抑えた補聴器でも、左右両側の音を良い側の耳で聞き取るというCROS補聴システムの効果を実感できるはずです。

ですが、もし補聴器をつけている耳に難聴がある場合は、全く条件が違ってきます。「価格を安く抑えたいから、補聴器は安いものを選ぼう」という考え方はお勧めできません

CROS補聴システムを利用するかどうかに関わらず、まずは「補聴器を利用して、良い側の耳の聞こえ方をベストにする」ことが大切だからです。

補聴器には、本当にさまざまな種類があります。自分に合わないものを使用すると、「音は大きくなったけど、何を言っているのか分からない」など、「補聴の効果」が全く得られない場合さえあります。

補聴器をつけている方の音も十分に理解できない状態で、CROS送信器か転送されてきたもう片方の音がさらに追加されることになっても、上手く聞き取れないままの場合があります。
これではCROS補聴システムを利用した意味が無くなってしまいます。

まずは、自分の耳の状態に最適な補聴器を選ぶようにしてください。

↓こちらの記事も参考にしてください。

5-3 専門家のアドバイスが欠かせない

CROS補聴システムを検討する上では、左右の耳の聴力や聞こえの状態をしっかり把握することが非常に重要になります。

CROS補聴システムによって改善が見込めるのかどうか、どんな補聴器を使えば効果が期待できるのか、さまざまな要素を検討した上でクロス送信器と補聴器を選択しなければなりません。

しかし、自分だけでその判断をすることは非常に難しいものです。クロス補聴器(システム)の使用についても、耳鼻科(補聴器相談医)や補聴器店のサポートは必要不可欠です。

↓こちらの記事も参考にしてください。

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